「ドライイーストのレシピを自家製酵母にしたいとき、
割合などは? 気をつけることなどありますか?」
先日、生徒さんからこんな質問をいただきました。
自家製酵母パンを作るようになってくると、今までドライイーストでパン作りをしていた方は
自分の持っているレシピを変換したいと思うようになります。
そしてネット上や書籍などで見るパンレシピも
「ドライイースト」のものや多いですよね。
そこで、そんなお悩みが出てくるんですね。
私がやっているプロ向けの講座では
レシピ変換も学んでいただいていますが、
特に気に留めておきたいところがあって、そこをお伝えしています。
今回はそんなお話をしていきます。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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ドライイーストから天然酵母へ!失敗しない置き換えのコツと注意点とは?
「このレシピ、天然酵母で作れないかな?」— 誰もが通る置き換えの壁
天然酵母のパン作りをある程度続けていると、
多くの方がある“壁”にぶつかります。
それが、
「ドライイーストのレシピを、天然酵母で作ってみたい」
というところです。
先日、生徒さんからこんな質問がありました。
「イーストのレシピがあるのですが変換は教えていただけますか?」
質問してくださったのは、以前からドライイーストでパンを焼いていらした生徒さん。
自家製酵母の世界に魅了されて、今は自家製酵母パンの販売をされています。
その気持ち、すごくよく分かります!
以前からパンを焼いている方は
「ドライイーストのレシピ」いっぱい持っていらっしゃるんですよね。
私の場合は最初から「天然酵母」だったので、そんな悩みはなかったのですが (^ ^;
天然酵母にレシピを置き換えて、「自分の理想のパンが作りたい!」
そう思っていただけるのは講座を持っている私からすると
とても嬉しいことです!
しかし
そんな想いとは裏腹に、最初はうまくいかないことも。
全然膨らまない…
なんか生地の感じが違う…
固くて美味しくない…
「これで合ってるの?」と自信をなくしてしまう方も少なくありません。
そのまま置き換えるだけはNG?天然酵母とドライイーストの“本質の違い”
まず知っておきたいのは、
ドライイーストと天然酵母の根本的な違い。
この理解があるかないかで、レシピの変換の成功率は大きく変わります。
● ドライイーストとは
工業的に単一の酵母菌(サッカロマイセス・セレビシエ)を培養したもの。
発酵力が安定していて、短時間で作業が進む。
味わいは比較的フラットでクセがない。
● 天然酵母とは
果物や穀物などから自然に発酵を起こした複数菌の共生。
酵母に加え、乳酸菌や酢酸菌などが含まれ、発酵のスピードはゆっくり。
香りや旨味、酸味など、複雑で奥深い味が特徴。
この「発酵力の差」と「味の方向性の違い」が、レシピ変換のカギになるのです。
違いについてはこちらの記事も参考にしてください。
天然 酵母 ドライ イースト – 天然酵母と市販のドライイーストの違いについて、自家製酵母パン教室の講師が解説
レシピを置き換えるときに起きやすい3つの“落とし穴”
小麦粉の種類を見落とす
ドライイーストのレシピは、海外の製パン理論を基に作られていることが多く、
外国産小麦(強力粉)を前提としています。
これに対し、天然酵母パンでは国産小麦を好んで使う方が多いです。
でも、実はこの違いが非常に重要なんです。
外国産小麦はグルテンが強く、吸水も高い。
国産小麦は風味が豊かだけれど、グルテンはやや弱め。
同じ配合で仕込むと、
「ベタつく」
「ダレる」
「成形しにくい」
といった生地の様子の違いが発生します。
発酵時間が全く違う
ドライイーストなら、常温で1次発酵90分くらいが一般的ですが、
天然酵母になると、6時間〜10時間かかることも珍しくありません。
この「時間差」を理解せず、ドライイーストの発酵時間で切り上げてしまうと、
「膨らまない」
「詰まったパンになる」
「酸味が出過ぎる」
などの原因に。
天然酵母は時間を“与える”ことで、美味しさを引き出すものです。
「味を再現する」のか「変える」のか、目的が曖昧
最後のポイントは、
「そのパンをどう仕上げたいのか?」
というゴール設定です。
元レシピの味・食感に近づけたいのか
自家製酵母らしい、しっかり香りのあるパンに仕上げたいのか
ここを最初に決めないと、
何を基準に調整するのかがブレてしまい、迷走しやすくなります。
天然酵母レシピへの置き換えどうする?|私が実践する具体的なプロセス
では、実際にどのように置き換えを行うのか?
ここでは、私が日々実践し、教室でも指導している手順をご紹介します。
ステップ1:酵母の量を決める
酵母の置き換えは、単純な「g数」では測れません。
例えば…
ドライイースト 1g → 天然酵母液 約20g〜
ドライイースト 3g → 自家製元種(中種法)約60g〜
※こちらは私がやっている変換方法ではありません。
酵母の種類、発酵力、気温などにより調整が必要で、例えばの「例」です。
どんなパンにするかで、酵母液やパン種の量を調整していきます。
ステップ2:水分量を再計算する
小麦粉の種類によって水分を足したり引いたりしていきます。
また
天然酵母(液種や元種)には、水分が含まれているため、
その分レシピの水分量を減らしたり・・ということも
計算していきます。
この調整がうまくいっていないと、生地が不安定で、
こねにくかったり、発酵もうなくいかなかったり
成形しづらい、ということにもなります。
ステップ3:「試作ノート」を必ずつける
置き換えた配合、発酵時間、室温、パンの仕上がり…
こういった情報は、一度で理想の結果に辿り着くためにではなく、
再現性を高めるために記録しておきましょう。
私自身、試作を繰り返すことで
「酵母のクセ」や「粉の特徴」を理解するようになりました。
記録を取ることは、最短で上達する近道です。
実際の体験から学んだ、“レシピ変換のリアル”
私も最初は何度も失敗しています。
せっかく朝から仕込んだのに発酵が進まず、夜中まで待つ羽目に…
成形しようとしたら、生地がデロンと広がってしまった…
香りが強すぎて家族に不評だった…(泣)
でも、そこで諦めずに(子供達からブーイングでも笑)
続けてきたからこそ、今は「私らしいパン」を生徒さんに伝えられるようになったと感じています。
レシピ通りに作るより、“生地と向き合う時間”が一番大切なんですね。
まずは「ひとつのパン」から置き換えてみよう
すべてのレシピをいきなり置き換える必要はありません。
まずは、一番好きなパンをひとつ選んで、そこからスタートしましょう。
ロールパン
食パン
カンパーニュ
どれでもOKです。
自分の「好き」があると、試作が楽しくなり、続けられます。
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実際にぱん蔵のプロ向けの講座では
「天然酵母レシピを変換する」という学習もしていただいています。
本格的に学びたい!
将来は天然酵母パンで何か仕事をしてみたい!
そんな方にご参加いただいています。
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せっかく学んだ「天然酵母パン」
ぜひドライイーストのレシピ変換もできるようになって
自分好みのパンが焼けるようになりたいですね!
トライしてみてください ^ ^