先生がいないと作れない
——そんな不安、ありませんか?
パン教室を卒業した後に自立するために大切な考え方を、
私自身の手書きノート時代の経験と
生徒さんの成長エピソードを交えて正直に話します。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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先生がいないとパンが作れない——パン教室卒業後の不安から抜け出すために大切なこと
パン教室を卒業した後、こんな不安を感じたことはありませんか?
「先生のレシピがないと、何を作ればいいかわからない」
「自分でアレンジしようとしても、自信がなくて手が出せない」
「先生に聞かないと、この先どうしたらいいかわからない」
実はこれ、多くの方が感じていることです。
先日、卒業生さんからこんなご相談をいただきました。
「先生に聞きたいことがあっても、連絡していいのかわからなくて。 疑問があるのに、どうしたらいいか困っていました」
ああ、そうか・・・と思いました。
卒業したら「もう先生を頼ってはいけない」と どこかで思ってしまっていたんですね。
卒業後の不安の正体は、多くの場合
「先生がいないとできない」という思い込みではなく、
「一人で抱えているから怖い」
ということだと思っています。
今日はぱん蔵という教室が、開業当初からずっと大切にしてきた
「自立」の思想と
私自身の原体験をお話しします。
「依存させない」という思想との出会い

この考え方のきっかけは、私が経営を勉強していた頃にさかのぼります。
当時、ビジネスを教えてくださった先生がいらっしゃいました。
その先生がとても大切にしていたことがあって、
それが「依存させない」ということでした。
生徒に依存を作らない、ということを
ご自身の考え方として打ち出していた方です。
私たちへの教え方も、物事の「正解」を教えるのではなく、
自分で考えるための「ものの考え方」を伝えることだったんですよね。
なので厳しかったですよ。
提出資料をただ出すだけだと
「で?」
と聞かれる(苦笑)
必ず自分の見解を入れて
「自分はこう考えました。その中で今日の質問は〇〇です」
というのが基本です。
「先生に聞けばわかる」ではなく、
「自分で考えたらどうなるか」を、ずっと問い続けてくださった。
それが私にとって、とても大きな学びになりました。
こういう関係性の作り方があるんだ、と。
正解を教えるのではなく、考え方を教える

パンや発酵食を教える立場になってから、
私はこの先生の言葉を何度も思い返してきました。
技術を伝えることはできる。
レシピを渡すこともできる。
でも「自分で考える力」は、教えることはできない。
引き出すことしかできないんですよね。
だから私は、レシピの先にあるものを見てほしいと、
ずっとそう思ってきました。
依存させることは、やろうと思えばできる

ここで正直に話しますと、
教室の先生って、生徒さんを依存させようと思えば、できるんですよ。
たとえば「先生がいないとレシピが考えられない」状態を作ること、
実はそんなに難しくないんです。
「私のレシピを使ってください」という形にすれば——
それだけで、先生への依存はじわじわと深まっていく。
「この先どうしたらいいか、先生に聞かないとわからない」
そういう状態は、意図的に作ることができるんです。
むしろその方が、生徒さんはなかなか離れない。
そういう考え方が、世の中には確かにあるし、
実際にそういうやり方をしている教室やコミュニティも、あります。
でも私はそれをやりたくない

私のプロ講座でも、最初は私のレシピを使っていただいています。
もちろんそれでOKです。
でも大事なのは、そこからどう発展させていくか、なんですよね。
私がいなくなっても、自分の力で考えて、動いて、前に進んでいける。
そういう人になってほしいというのが、
ぱん蔵という教室の根っこにある思いです。
手書きノート世代が強い理由
ここで少し、私自身の原体験をお話しさせてください。
私が自家製酵母パンを習い始めた頃の話です。
当時の先生は——今はもう教室はないんですけれども——
レシピをくれない方でした。
手書きのレシピがつくまでのの上に置いてあって、みんなで書き写していたんです。
授業中に先生が手を動かすのを見ながら、
手の動きを図解して、「こうやってこうやって……」って
殴り書きで描いて、後から自分で整理して。
もう、追いつく暇もないくらいでしたね(笑)
今もボロボロのノートを持っている

あの頃のノートが、今もあるんですよ。
ページが剥がれているくらい、ボロボロで。
でも今でも見直すことがあって、
そこには私自身がアレンジしたものも書いてあるし、
他の方に先生が教えていたことも、横から耳をそばだてて書き留めてありました(笑)
「漏らすものか」という気持ちで(笑)
手を動かして盗んだものが、一番の財産になった
今思うと、あの経験が私の土台になっているんですよね。
私の仲間たちも——今も一緒に活動している先生方も——
同じ「世代」で。
その世代の先生たちが、めちゃくちゃ強いんですよ。

今は動画レッスンがあって、丁寧に手取り足取り教えてもらえる時代です。
それはそれでとても良いことなんですけど、
「自分で考えて、自分でつかみ取る」という経験が、
やっぱり人を強くするんだなと、ひしひしと感じています。
伸びていく生徒さんに共通すること

たくさんの生徒さんを見てきた中で、
伸びていく人には共通点があります。
それは、自分でどんどんやってみる人なんです。
私が伝えたこと以上のことを、
自分でアレンジして試してきて、
「先生、やってみました!」って報告してくれる。
時には失敗もたくさんある。
でも、それを笑い飛ばしてケロッと報告してくれる。
事後報告に「ちょっと待って!」と思いながら(笑)
事後報告で困ることも、正直あります(笑)
「え、もうやっちゃったの?」
「それ確認してからにして!」って
思うこともあるんですけどね。
でも、そのくらいの勢いがある人の方が、
成長がぐんと早いなと実感しています。
「先生、どうしたらいいですか?」と聞いてくれることも、もちろん大切です。
でも、その一歩先に行けた時——
「先生に聞く前に、まず自分でやってみよう」と動けた時から、
その人のペースが、明らかに変わってくるんなって思います。
最終的には、同志になりたい

私が生徒さんに持っている最終的なイメージは、
「先生と生徒」という関係から卒業した先にあるものです。
一緒にパンや発酵の世界を歩んでいく、
ビジネスの仲間、暮らしの仲間、同志になれたら嬉しい。
そう思っています。
私のことを「先生」として慕ってくれることは、もちろん嬉しいです。
でもそれよりも、
あなた自身の力を信じて、あなた自身のファンになってほしい。
「こんな私でもできる」と感じながら、
一歩一歩、自分の足で進んでいってほしいと思っています。
一人で抱えなくていい場所をつくりたい

先日ご相談をくれた卒業生さんには、
ぱん蔵のサロンコミュニティをご案内しました。
そこでは、酵母や菌の勉強会があったり、
レシピを広げるためのヒントを得られるオンラインレッスンがあったり、
生徒さん同士で「今これをやっています」「こんな失敗がありました」と
情報交換できる場があります。
先生に聞く場所であると同時に、仲間に聞ける場所。
卒業した後も、一人で抱え込まなくていい。
「安心して次へ進める仲間がいる」という場所を、
ぱん蔵はつくっていきたいと思っています。
先生のファンより、自分自身のファンに
パン教室を卒業した後の不安の多くは、
「一人で抱えているから怖い」というところから来ています。
技術はもう、あなたの中にある。
あとは、信頼できる仲間と一緒に、自分の足で歩くだけ。
そのための場所であり続けたいと、
ぱん蔵はずっとそう思っています。





