短期プロ講座の2回目のレッスンで、受講生さんが、
私から届いたレーズン酵母液のスターターを大切に取ってくださっていると知りました。
酵母を起こすために使っていただくものとして送っていたので、
驚くと同時に、とてもうれしくなりました。
そこから、私のスターターをきっかけに、
それぞれの台所で酵母が育っていることを改めて考えました。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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私の酵母が、生徒さんの台所で育っていく

最初に手渡す、小さなスタートセット
同じ材料で、まず自分の手を動かす
短期プロ講座など、私のパンのプロ講座では、最初にスタートセットをお送りしています。
酵母起こしに使う容器や基本の材料、私が使っているものと同じ小麦粉などを入れています。
その中に、私が作ったレーズン酵母液のスターターもあります。

最初は動画レッスンを見ながら、ご自身の台所で酵母を起こしていただきます。
画面で作り方を知るだけではなく、実際に材料を手に取り、
目の前の酵母を見ながら育ててほしいからです。
送った材料を同じように使っても、作業をするのは私ではなく、受講生さんご自身です。
最初の一回を自分の手で経験すると、次に酵母を起こすときにも、
「前はどうだったかな」
と振り返るものができます。
私が届けたいのは、完成した酵母液だけではなく、
そうして自分で見ていくための入り口だな、と思っています。
スターターは、育て始めるためのきっかけ
私が酵母液を送るのは、最初の酵母起こしに取り組みやすくするためです。
それを使って作れたら、今度はご自身で育てた酵母液を次のスターターにしていく。
そうやって、その方の台所で育つ酵母につないでもらえたらうれしいと思っています。
だからこそ、最初に届いた酵母液を大事に取っていると聞いたときは、
びっくりしました。
私から届いたものを、それほど大切に思ってくださっていたんですね(感謝)
ありがたいと思う一方で、酵母液はぜひ使っていただきたいとも思います!
大切にしまっておくことだけではなく、使いながら、
自分の酵母を育てていくことも、私にはうれしいのです。
違いを持ち寄れる教室でありたい
私の酵母液と、自分で作った酵母液
レッスンでは、私がお送りした酵母液と、ご自身で作った酵母液が違うという話も出ました。
以前のレッスンでは、それぞれの酵母液から作った元種を比べてくださった方もいました。

2回目のレッスンではさらに、二つの酵母液を合わせて元種を作る話も出ました。
一つのスターターを受け取って終わりではなく、
作って、見比べて、また試してみる。
受講生さんがその過程を持ち寄ってくださることが、私にはとても面白く感じられました。
レーズンの違いなのか、育てた場所や季節などの違いなのか、皆さんとも話しました。
けれども、今回見えた違いの理由は、まだ分かりません。
私は、分からないことを急いで一つの答えにしなくてもいいと思っています。
見たことを話せると、学びが深まる

私がうれしかったのは、皆さんがそれぞれの酵母をよく見て、
違いに気づき、教室で話してくださったことです。
レシピを読んで作ることも、大切な入り口です。
その先で、自分が見たことを言葉にし、ほかの人の経験にも耳を傾けると、
同じレッスンから受け取れるものが増えていきます。
教える私も、生徒さんが見つけたことを聞いて、新しい問いをもらいます。
そのレッスンでは、私自身も皆さんから大きなものを受け取ったと感じました。
質問にその場で答えが出ないこともあります。
そんなときも、実際に見たことを話してもらえると、次は何を比べてみたいかを一緒に考えられます。
届いた酵母を試し、そこからまた新しい試みへ進んでいることが印象に残りました。
それぞれの台所へ広がっていく
北海道から鹿児島まで、思い浮かんだ顔

私は2022年からパンのプロ講座を始め、
これまで北海道から鹿児島まで、さまざまな地域の方に出会ってきました。
酵母液を大切にしてくださっている話を聞きながら、それぞれの方の台所を思い浮かべました。
私がお送りしたスターターをきっかけに、その方が自分の手で酵母を起こす。
そこから、私の手元にあったものとは違う、その方の酵母になっていく。
各地でそんな時間が生まれていると思うと、すごいことだなと感じました。
一人ひとりが受け取り、育ててくださっていることへの、私の実感です。
受け継ぐという気持ち

受け継がれてきたぬか床や、継ぎ足して使うたれの話を聞くことがあります。
その日の私は、酵母液を大切にする皆さんの話から、それに少し似た気持ちを受け取りました。
最初に手渡したものを大事にしながら、
自分の暮らしの中で使い、育てていく。
パン作りの技術をお伝えする時間に、
こうしたつながりも生まれていたのだと、改めて気づきました。
レッスンでは私が作り方をお伝えしますが、いつも私だけが教えているわけではありません。
生徒さんが育てた酵母と、そこから生まれた発見を持ってきてくださるから、
私も一緒に考え続けられます。
これからも、皆さんの台所で起きたことに耳を傾けながら、パン作りを伝えていきたいと思います。
皆さんの台所には、大切に育てているものがありますか ? ^ ^





