天然酵母のパンが好きな方は、ライ麦入りのどっしりしたパンが好きな方は多いですね。
ライ麦パンは一般的にはライ麦粉と小麦粉を混ぜて作る場合が多いのですが
ライ麦粉を入れる割合によってパンの食感が全然違ってきます。
膨らみ方も変わってきますね。
ちょっとマニアック(?)なライ麦のパン。
どんな特徴があるのかお話していきたいと思います。
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天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
ライ麦 パン 膨らま ない – ライ麦パンは何で膨らまないの?天然酵母のパンの先生が教える長所と短所のお話
このお話を動画でご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
ライ麦粉のパンってどんなパン?
ライ麦パンと聞いてイメージするのは
固い、ずっしり、酸っぱい
ということでしょうか。
好みが分かれるのもライ麦パンの特徴かなと思います。
最近では健康志向もあり、よく見かけるようになりました。
ライ麦には食物繊維やミネラルが豊富に含まれていて、糖尿病などの方に注目されています。
レッスンでもライ麦入りのパンはよくやります。
10〜100%まで様々な割合でパンを作ります。
ライ麦の配合によってパンの呼び方も違うんですよ。
ライ麦90%以上のものはロッゲンブロート、
90%より少ない ロッゲンミッシュブロート
50%より少ない ヴァイツェンミッシュブロート
などなど。
酵母は何を使うかというと、ライ麦から起こしたサワー種は
ライ麦パン作りには有名なところですが他の酵母でも美味しく作れるものもあります。
ぱん蔵のレッスンでは様々な酵母を使ってライ麦入りのパンを焼いていきます。
ビール酵母を使ったレッスンも毎年やります。
ちょっと苦味のあるビール酵母もライ麦パンにはよく合います。
見た目の印象としてはどっしりした、膨らまないパンと言ったところでしょうか。
ライ麦を入れる割合によりますが、一次発酵させてもあまり膨らみません。
なぜ膨らまないのか
ライ麦粉は性質として、グルテンを形成しないのです。
パンの膨らむ仕組みは酵母の働きにより、
炭酸ガスが発生してそれをグルテンの膜で覆って気泡を作り、
それが膨張していくのですがそのグルテンを形成しないのです。
グルテンというのはグルテニンとグリアジンいうタンパク質から作られるのですが
ライ麦にはグルテニンがないためにグルテンを形成できないということになります。
小麦粉とライ麦粉の割合で膨らみと食感が違ってくるのはそのためです。
小麦粉も入っていないライ麦100%の生地があまり膨らまないのはそのためです。
ライ麦パンはグルテンフリー?
ではグルテンと呼ばれる成分が含まれていないということで
グルテンフリー
と呼んでいいのか?というのが気になるところですね。
先ほどグルテンは「グルテニン」と「グリアジン」から作られていると言いましたが
ライ麦にはグルテニンが無く、グリアジンに似た「セカリン」というものが含まれるのです。
その為グルテンの形成は出来ないのですが
「セカリン」が含まれているので厳密に言えば
グルテンフリーとは言えない
ということになります。
アレルギーの方はこれに反応することがあるので、
主治医の指示に従って身体の状態を見て
摂取しても大丈夫かどうかご確認くださいね。
ライ麦パンのいいところ(長所)
食感 ①
ライ麦パンはポソポソしているイメージがあるかもしれません。
確かに乾燥してしまうと食べにくいことがあります。
しかし、乾燥しないようにしっかり保存しておくと
しっとりとしてとても食べやすいんです。
ポイントは保存状態です。
これを気をつけるだけでとてもふわしっとりの美味しいパンとしていただけます。
味、香り ②
うまく出来たライ麦パンは豊かな香りがします。
ライ麦の割合にもよりますが、ドイツでは半分くらいの割合が人気があるようです。
香りと味のバランスが程よい、ということでしょうね。
以前レッスンで
ライ麦100%、50%、30%
のパンを焼いて食べてもらったことがありますが
お子さんが食べやすかったのはやはり小麦粉の割合の多いものでした。
いえ、食べやすいというよりも「美味しい!食べたい!」といった感じで人気でした^^
逆に大人はライ麦の割合の多いものがお好みで「ワインに合いそうー♪」と。
味も「酸っぱいイメージ」の強いライ麦ですが、そこまでではありません。
「酸っぱくないですね!」とよく言われます。
ほのかに酸味のある香りが心地いいくらいです。
日持ち、腹持ち ③
なんと言ってもライ麦パンのいいところは日持ちがいいということです。
むしろ1〜2日おいたほうが生地が馴染んで美味しいというくらいです。
ライ麦粉には吸水性があるので日がったってもしっとりしています。
どっしりしているので腹持ちもいい。
薄くスライスして野菜やハム、チーズなどを乗せて食べるのが主流です。
ただでさえ存在感のあるパンなので、
薄くスライスすることによって具材とバランスがよくなります。
ライ麦パンの短所
こねにくい
ライ麦パンをこねる時にベタベタしてこねにくいと感じていらっしゃるのではないでしょうか。
これもライ麦粉の性質で、粘着性と吸水性があるので小麦粉よりこねにくいのです。
生地を練っていく、というよりはまとめていくという扱いをしてもらうことが多いです。
ライ麦パンにサワー種を使うというのは風味を生かすということもありますが
この酵母の酸の働きによってベタベタした生地を抑制するということもあります。
発酵がわかりにくい
一次発酵後の生地も一般的なイメージとは違います。
ほとんど膨らまないので見た目にはわかりにくいのです。
慣れないうちは不安になるかも。
しかし触った感じが全然違います。
ふんわりしていて気持ちがいいくらいです。
二次発酵もわかりにくいです。
しかし、こちらもふわっとはしているのですが大きさはほとんど変わりません。
ちょっと表面がひびわれているようになってきますので、そこがポイントです。
保存状態によって食べにくい
ライ麦には吸水性があると言っても保存状態がよくないとモゾモゾとして食べにくくなります。
特にライ麦の割合が多いとポロポロします。
日が経っても美味しくいただくポイントは乾燥しないように上手に保存することです。
これは他のパンにも言えることですね。
ライ麦パンのいいところ おまけ
これを言わずにいられない!
私は地元の方にライ麦をいただいて育てたことがあります。
そのライ麦の姿の美しかったこと。
その時、同時に地粉も撒いたのですが、姿は全然違っていました。
麦は「麦ふみ」と言われるので、頑張って踏んでいましたね(笑)
私でも育てられたんだ、という感激とその姿の美しさに心が踊りました。
田舎に移住してこんな体験が出来たことがありがたいなあ、と思った出来ごとでした。
ライ麦 パン 膨らま ない – ライ麦パンは何で膨らまないの?天然酵母のパンの先生が教える長所と短所のお話 まとめ
今日はライ麦入りのパンについてお話しました。
ライ麦パンのいいところ、ちょっと難しい面。
それぞれを知っておくと特徴を生かして美味しく食べられると思います。
どっしりと日持ちのいいライ麦入りのパン。
天然酵母と相性がいいパンで根強い人気があります。
レッスンして思ったのですが、お子さまもパクパク食べます!
嫌いな子はいなかったのにはびっくり。
でも、やはり割合は少なめの方が好きなようです。
家族で美味しい食べかたを考えるのも楽しいですね。
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