パンを作るのが好きで、いつか販売してみたい。
そう思ったとき、まず考えるのは「自分はどんなパンを作りたいか」かもしれません。
もちろん、それは大切です。
でも、販売を続けていくなら、もう一つ考えたいことがあります。
「お客様は、どんなパンを食べたいのか」
ということです。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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作りたいパンと売れるパンは違う|パン作りを仕事にするとき考えたいお客様のこと

店舗を持たずにパンを販売していた頃
私は2014年から、約4年間パンを販売していました。
パン屋さんのような店舗は持たず、工房でパンを作り、注文を受けて届ける形です。
販売サイトから、全国へパンを発送

当時はオンラインショップのページを作り、そこから注文を受けていました。
私はまだSNSをまったく使っていませんでした。
販売サイトにパンを載せていただけなのに、どこかで見つけてくださって、全国から注文が来ていたんです。
「こんなふうに遠くの方にもパンを届けられるんだ」
と、通販の可能性を感じた時期でした。
今は、見つけてもらうための発信の仕方も変わっていますね。
それでも、自分の工房で作ったパンが、離れた場所にいる方へ届いた経験は、
今もとても印象深いです。
工房、イベント、委託販売、マルシェでも

地域の方向けに、月に1〜2回ほど工房で販売することもありました。
学校のイベントで注文をいただいてパンを納めたり、自然食品のお店に委託販売したりもしました。
マルシェや地域のお祭りにも、たくさん出ました。
販売する場所や届け方は、それぞれ違います。
そうした経験を重ねる中で、作る側から見たパンと、買う側から見たパンは、必ずしも同じではないと感じるようになりました。
天然酵母へのこだわりは、選ぶ理由になる?
私はずっと天然酵母のパンを作ってきました。
作り方にも、素材にも、自分なりのこだわりがあります。
天然酵母が好きで選んでくださる方も、もちろんいらっしゃいました。
でも、マルシェなどで販売していると、私がこだわっている「天然酵母」という点を、お客様が同じくらい重視しているとは限らないと感じることも多かったんです。
「おいしい」「好みに合う」も大切な理由

食べるものや素材に気を配っている方もいれば、そこをあまり意識せずにパンを選ぶ方もいます。
そのどちらにも、
「おいしいものを食べたい」
「自分の好みに合うものを食べたい」
という気持ちはあると思います。
作り手にとって天然酵母は、パン作りの大切な軸になります。
ただ、そのこだわりを伝えるだけで、お客様が食べたいと思うパンになるわけではありません。
私が販売を通して感じたのは、そこでした。
作ることに力を注ぎすぎていないか

パンを作る人は、製法や食感、焼き上がりにもこだわります。
私もそうです。
納得できるパンを作りたい気持ちは、悪いことではありません。
でも、「まだここが足りない」「もっと技術を磨いてから」と
考え続けていると、販売に踏み出せなくなることもあります。
こだわることに力を使いすぎて、疲れ切ってしまうのは、もったいないと思います。
そんなときは、技術のことだけでなく、何のためにパンを作っているのかを考えてみてもいいのかもしれません。
パン作りを、どう続けていきたいか

自分の楽しみやライフワークとして焼くなら、好きな作り方を追求するのは素敵なことです。
自分が納得するまで試し、好きなパンを焼く。
それも、パン作りの大きな喜びだと思います。
一方、パンを販売し、仕事として続けたいなら、売り上げも必要になります。
その場合は、自分の「作りたい」に加えて、お客様の「食べたい」を考えることが欠かせません。
誰に買ってもらいたいかを考える

私は開業講座の生徒さんにも、まず
「どうしていきたいのか」
を考えてもらっています。
そして、仕事にしたい方には、お客様目線の大切さをお伝えしています。
誰に買ってもらいたいのか
その方は、どんなパンを食べたいのか
どう見せたら、まずパンを知ってもらえるのか
こうしたことを考えるのは、作り手の思いを捨てるためではありません。
自分が大切にしているパンを、食べたいと思っている方に届けるためです。
技術と一緒に、伝え方も育てる

今はパンのレシピや作り方を知る手段がたくさんあります。
努力して技術を身につけている方も多いと感じます。
だからこそ、販売を考えるなら
「作れるようになること」の先にも目を向けたいんです。
写真などでパンをどう見せるか
自分がどんな思いで作っているかを、どう伝えるか
「この人から買いたい」と思ってもらえる関係を、どう育てていくか
技術と同じように、こうしたことも少しずつ考えていく必要があると思っています。
私自身、販売していた頃と今とでは、発信の方法が変わったと感じています。
けれど、
作る人の「好き」と、お客様の「食べたい」が重なる場所
を探す大切さは、変わりません。
あなたは、どんな人に食べてもらう姿を思い浮かべてパンを作っていますか。
その人の食卓を想像するところから、次に届けるパンのヒントが見つかるかもしれません。
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