普段は自家製酵母のレッスンをしているぱん蔵ですが、
以前はホシノ天然酵母のレッスンもしていました。
天然酵母といっても自分で作るものや市販されているもの、など
いろいろなものがあります。
今日はその中でも市販されているホシノ天然酵母のポイントをお話してみようと思います。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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ホシノ天然酵母を起こす10のコツ|失敗しない混ぜ方・温度・おすすめ道具をご紹介
このお話を動画でご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
ホシノ天然酵母を起こす時に知っておきたい基本知識
ホシノ天然酵母とは?市販のドライイーストとの違い
ホシノ天然酵母は、国内産の米と小麦由来の酵母菌をもとに作られた、
自然の力で発酵させる酵母です。
市販のドライイーストとは異なり
酵母を“起こす”
という工程が必要で、これによって発酵の力が目覚め、
パン作りに使える状態になります。
なぜ「起こす時のコツ」が大事なのか?初心者がつまずくポイント

ホシノ天然酵母は自分で作る「自家製酵母」に比べると
扱いがやさしく初心者の方にはお勧めしています。
手間も少なく、保存もできるのが良さ、ですね!
以前は私の教室は「ホシノ天然酵母専門の教室」でした。
「天然酵母って何??」
というまだあまり知られていなかった時代のとっかかりにはぴったりの酵母です。
それでも「うまくいかない」と言う生徒さんもいらっしゃいます。
お話を聞いてみると、共通点があったので今回はそこを踏まえて解説をしていきたいと思います。
現役講師が教える!ホシノ天然酵母を起こすときの10のポイント
1. 準備するもの【必須アイテム】
まず酵母を作る時に用意してほしい道具は
〇煮沸消毒した瓶
〇酵母を混ぜる小さめのヘラ
そして、一番おすすめのもの
割りばし
です。
これとっても便利です。しっかり混ぜるときに使います。

2. ダマを残さないで力強く【混ぜ方のコツ】
なぜ割りばしがいいか
酵母を入れて、お湯を入れて作っていきますが
その時に瓶の底に粉がたまっていることがあります。
ヘラでもいいんですが、先の部分が柔らかいので力が入ってググっと混ぜられるのが割りばしです。
ご飯を食べるときに使っているおしゃれ箸だと折れてしまうこともありますので要注意です。
お湯を入れて粉を溶かして瓶の底の方まで
きれいに混ぜきったら少し置いておきます。
そうすると水分を吸った粉状の酵母はおから状になっています。結構かたいです。
それを再び力強く混ぜるのに、またまた割りばしがおすすめなんです。
そして混ぜ終わったらちいさなヘラで瓶の脇についた酵母をきれいに落として表面を平らにして
しばらく置いておきます。
こうして粉状で眠っていた酵母を起こしてあげるのです。
2. 空気を取り込む【混ぜ方のコツ】

仕込んだものが使えるようになるまでに空気を中に取り込んであげます。
その時に密閉されている瓶だと空気が取り込みにくいので蓋にパッキンがついているので
外せるものははずしておきましょう。
そして出来上がるまで数回かき混ぜることも大切です。
ジャムの瓶など、ひねるタイプの蓋は軽くのせておいてあげます。
そしてあとは同じように数回かき混ぜてあげます。
3. 温度は28〜30℃をキープ【発酵器の活用術】

酵母の発酵には適温があります。
私は基本的には室温で作っていますが、急ぐときは発酵器がいいですね。
発酵器を使って28〜30℃を保つと平均24時間くらいで完成です。
冬場は発泡スチロール箱+湯たんぽという方法もおすすめ。
ヨーグルトメーカーで代用する方もいます。
4. 容器の選び方で発酵が変わる【おすすめ容器紹介】

ガラス製かホーローがおすすめです。
口が広くて中が見える耐熱ガラス容器も使いやすいですね。
ステンレスやプラスチックは匂い移りや温度ムラが出やすく、あまり向いていませんが
それでも酵母おこしは可能です!
容器がないからできない・・・なんてことはないので
挑戦してくださいね!
5. 水の温度にも注意!ぬるま湯と常温水の使い分け
水温が高すぎると酵母が活動できなくなるので注意してください。
40℃以上はNG。
私は夏は常温、冬は人肌程度(30〜35℃)のぬるま湯を使っています。
心配な方は温度計で確認してもいいかと思います。
6. 冬と夏で調整すべきこと

湿度が低いと出来上がるのに時間がかかってしまいます。
やはり適温(3で説明)にするとスムーズなのですが、室温でも1年中作ることはできます。
寒い時期はなるべく暖かい部屋に置いて居心地の良い環境を作ってください。
逆に暑い時期は発酵しすぎないように注意です。
ぷくぷくと泡立ってきてピークを通り過ぎると、ただのトロッとした液体になってしまいます。
7. ダマになった時のリカバリー方法
慣れないうちは混ぜる時にダマになってしまうこともあります。
もしダマが残ってしまったら1〜2時間おいてから再度混ぜてみてください。
それでも残るようなら、スプーンの背で潰すなどして
頻繁に混ぜてください。
8. 酵母の香りで発酵の進み具合をチェックする方法
うまく発酵している酵母は、甘酒のような香りがします。
アルコール臭が強いときは過発酵気味の可能性があります。
うまく出来上がってから保存していく段階で
アルコール臭や酸味が出てくるのは大丈夫です。
起こした酵母の過程でその変化に応じてパンを焼くのも天然酵母の醍醐味です。
9. 起こした酵母の保存方法と使うタイミング
完成後は冷蔵庫で保存します。
上手に起こすことができていれば、軽く1ヶ月は使うことができます。
(保存状態によります)
だんだん、とろとろになって酸味も出てくるので
パンの種類によって使い分けることができます。

10. 毎回同じ状態にするためには経験値
天然酵母の難しいところは
「毎回同じ状態にする」
ということかな、と思います。
これはもう、何回もやって経験していくしかありません。
それと早く成長するには「経験者の的確なアドバイス」も大切だと思います。
私も超初心者の頃は先生に教わって、ノウハウをしっかりと身につけました。
よくある質問Q&A|ホシノ天然酵母を起こすときの疑問にお答え!
Q. 室温で発酵させても大丈夫?
A. 室温が適温(28〜30℃)であればやりやすいですが、室温でも十分できます。
季節によって調整をしてあげましょう。
冬は低すぎるので保温対策をやってみてください。
Q. 酵母液に泡が立たないけど大丈夫?
A. 温度が足りないか、すでにピークを過ぎてしまっている、ということが考えられます。
今までの工程を見直してみてください。
Q. 一度起こした酵母は何日持つの?
A. 冷蔵で1ヶ月ほど使えます。
酵母の力はだんだん弱くなるので、その状態に合ったパン作りをするイメージです。
Q. 酵母が失敗したときのサインとは?
A. 不快な臭い、泡が立たない、カビが発生、など。
ちょっとでも心がざわつくようなら潔く諦めましょう。
なんでホシノ天然酵母をおすすめするの?

私の中でロングセラー
「天然酵母でパンを焼きたい」
という人が増えています。
天然酵母って市販されているものもあって手に入りやすいし、
それを使うと結構お手軽なんですよ。
でも「どうせやるなら自家製で、自分で酵母起こしからやってみたい」
と思う人も増えています。
全くの初心者だったらコツをつかむまでちょっと苦労するかもしれません。
美味しいパンが焼ける様になるまで何日、何ヶ月??
と思うとすぐに美味しい手作りパンが口に入るようになるまでは
けっこう遠い道のり(!)かも。
そう思うと、すぐに美味しい自家製のパンを口に入れたい方には
市販されている天然酵母を使うことをおすすめしています ^ ^
市販されているものを使うというのはメリットがあります。
手に入りやすい → (自家製だと)自分で作るのは時間がかかる、まずは素材選びから。
初心者でも失敗しにくい → (自家製だと)慣れるまで酵母起こしで失敗する人多し。
という理由で市販のものを使用されるのもいいと思います。
そして数ある中でなぜ「ホシノ?」
という理由は私が長年使っていたからです。
それだけです(笑)
他のものを使っていたらそれをおすすめするかもしれませんが、
このホシノ、とっても使いやすいし香りが好きなんです。
原材料はお米と麹、小麦。
お酒っぽい香りがして、酵母臭(?)が好きです。
そして味も食感も天然酵母らしさがしっかりあって、どんなパンにも合います。

それで何年も使い続けているのだと思います。
私の中でロングセラー、それが理由です。
自由自在に酵母を使う
ずっと何年もホシノでレッスンをやってきていましたが
現在ではぱん蔵のレッスンでは主に自家製での天然酵母パン作りをやっています。
こんなにホシノ天然酵母のことを語っていたのにやってないの?
と思われるかもしれませんが(笑)今はやっていません。
ですので、生徒さんは昔から通ってきてくださっている人はホシノを使う方が多いです。
自家製派とホシノ派に分かれている?
と思うかもしれませんが結構まぜこぜです。
もちろん、「私はこれ」って1つだけ貫いている方もいらっしゃしますが、
最初はホシノ天然酵母から→自家製というふうに学んでいき、
どちらもその時に応じて使っていく、という方が何人もいらっしゃいます。
オンラインレッスンをやっていても、ホシノ天然酵母を使ったり、自家製酵母に
変換させて使う方もいらっしゃいます。

なんか自由自在って感じですね^^
ぜったい自家製じゃなきゃダメでしょ!なーんていうつもりは全くなく
いいんです、やりたいもので
その時の都合もあるでしょうから、
出来ることを出来る範囲で無理なくやるのが一番ですね。

ホシノは市販で売っているものなので自然食品店やネットでも手に入りやすいものです。
そして袋にも作り方が書いているので、それを見て作れば出来ます。
けっこう簡単です^^
でもやっぱり「前に失敗してしまって自信がない」という方もいらっしゃいましたので
今回はポイントをまとめてみました。
まとめ|天然酵母を成功させるために大事なこと
天然酵母は自然界の力を感じる
天然酵母は市販のものであれ、自家製で起こしたものであれ
酵母菌だけではなく、他の菌も混ざっています。
いろいろな作用があって、それがうまく働きあって複雑な風味やうまみを出していきます。

何より魅力的なのはプクプクとなる姿でしょう。
泡が出てきてシュワッとなる。
なんで??
生ている
という驚きと喜びを感じられるのが天然酵母の良さだなあと思うのです。
生命を感じると本能で嬉しい。
これが生命を持つ地球上の私たちの身体に刻まれていることなんでしょうね。
パン作りでそんな宇宙的な感覚を得られるとはなんて素敵なんでしょう。
そんな思いで酵母起こしをしています。
ご参考になれば嬉しいです。



