パン作りといえば「酵母」、「発酵」ということをイメージするかと思います。
しかし、実のところ「酵母って何?」「発酵って?」
と思われているのではないでしょうか。
今日は、その発酵に関わる微生物についても少しお話してみたいと思います。
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天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、酵母生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室をやっています。
パン 酵母 と は – 酵母って何?微生物の世界を感じる自家製酵母パン作り 3大発酵の秘密
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発酵は微生物の働き
そもそも発酵とはなんぞや?とパン作りをしていると
疑問に思うことがあるのではないでしょうか。
発酵とは簡単にいうと、
微生物の働き=分解と生成
ということになります。
ということは、発酵と腐敗って違うの?
と思われるかもしれませんが微生物の働きという点ではズバリ「同じ」ということなんです。
ではどこで区別しているんでしょうか。
それは人間の都合です(!)
人間にとって有益かどうか、ということになります。
有益なもの=発酵
有害なもの=腐敗
と勝手に人間が振り分けているんですね。
これは文化によっても違います。
日本に日常にある発酵文化、「塩辛」や「納豆」などが外国の方では腐敗と感じて
しまうこともあります。
逆に臭いブルーチーズなど、日本人の文化にはないので嫌いな人にとっては腐敗と感じる方もいらっしゃるでしょう(笑)
微生物って?
微生物の働きによって「発酵」という現象が生まれる、ということになりますが
微生物ってどんなものなのでしょうか。
生物は動物、植物、菌類に大きく別れます。
微生物をひっくるめた表現として「菌」と呼んでいます。
微生物は「微細な生物」という意味なのですが、
ここではほぼ同じ意味と考えてお話していきたいと思います。
パンを発酵させる酵母菌はこの菌類に属するのです。
地球上の菌類っていろいろあるんですね。
酵母菌だけでも何百種類もあるということですので、
つき詰めていくとすごいことになりそうです。
微生物は分解する働きがあると言いましたが、発酵ということに関しては
発酵には関係ない微生物もいます。(プランクトンなど)
では、発酵に関係するものはどういうものでしょうか。
発酵菌ってこんな種類がある
発酵に関わる菌は
細菌
カビ
酵母
と3つに分けられます。
細菌
細菌は乳酸菌、酢酸菌、納豆菌などがあります。
分解して作り出すものの名前がついているのでわかりやすいですね。
カビ
カビの種類には麹菌・アオカビ・鰹節カビ(優良カビ)などがあります。
麹菌は日本の「国菌」と呼ばれていて昔ながらの味噌、醤油など調味料にも使われています。
甘酒は麹菌が米のデンプンからブドウ糖やアミノ酸を作り出すことで栄養価の高いものになります。
鰹節の場合は、カビは鰹節の表面から菌糸を伸ばしタンパク質の方に入っていきます。
そして増殖することでうまみを出していくのです。
酵母菌
酵母菌にはビール酵母、ワイン酵母、パン酵母などがあります。
酵母は果物、野菜の表皮、枯れ草、枝の表面など、熱帯から北極まで地球上のいろいろなところにあります。
その中でもパンに適した酵母菌を「パン酵母」と呼んでいます。
3つの発酵
発酵の中でも3大発酵と呼ばれるものがあります。
乳酸発酵
アルコール発酵
酢酸発酵
です。
この3つの発酵もそれぞれの菌が関わっています。
乳酸発酵
乳酸菌が糖類を分解し、乳酸を生成します。
ヨーグルト、漬物などがそうですね。
そのほかに私たちの身体でも疲労した時に「乳酸がたまる」ということがあります。
酸素の供給が追いつかなくて筋肉内で乳酸発酵が行われている状態を言っているんですね。
アルコール発酵
酵母が糖類を分解して、アルコールと炭酸ガスを発生させます。
この働きによって、パン、ビール、ワインなどが作られます。
ビール酵母やワイン酵母はパン酵母にもなります。
パンを作る酵母はいろいろな種類があり、それぞれ特徴があるパンが出来上がります。
酢酸発酵
酢酸菌が糖類とアルコールをエサにして酢酸を生成していきます。
代表的なのはお酢です。
あとはココナッツ水を酢酸発酵させたのがナタデココです。
「ナタ菌」という菌を使います。
菌と発酵の仕組みを知ると酵母起こしを失敗しない?
こんなふうにいろいろな菌の働きによって「発酵」ということが起きるのですね。
実は菌の特性を知っておくと、酵母おこしや生地発酵をするときの参考になります。
酵母菌というのは微生物の中でも真核生物になるのでちょっと構造が複雑なんです。
逆に原核細胞と呼ばれる乳酸菌や酢酸菌などは単純な構造でできています。
単純な構造でできている乳酸菌や酢酸菌の方が増殖しやすいのです。
複雑な酵母菌の方が時間がかかるので増殖しにくい。
ということは、酵母おこしの時にも生地発酵の時にも
他の菌の方が増えやすいということが原則としてあるということです。
つまり、慣れないうちは特に温度や湿度を見てあげて欲しいということです。
生地が酸っぱくなったり、うまみが抜けてしまったりということになるのは
可能性が高いので、気をつけていこうということになりますね。
パン 酵母 と は – 酵母って何?微生物の世界を感じる自家製酵母パン作り 3大発酵の秘密 まとめ
今回は微生物や発酵についてお話してみました。
まだまだ奥が深く、私も未知な部分がいっぱいあります。
発酵食品って、発祥は実は偶然のほったらかし発酵からできたと言います。
偶然ってバカにならない、とっても重要なことを秘めていますね!
発酵食品にはいろいろなパターンがあります。
細菌で発酵しているもの、カビで発酵しているもの、
細菌と酵母など複数の微生物で発酵しているものもあります。
チーズは乳酸発酵後にカビつけするそうです。
極めていくと面白いですね。
そんな発酵食を作っていこうというのが「発酵クラス」です。
菌の世界も不思議です。
パン工房に酵母菌をたくさん住まわせるといいパンが焼けると言われます。
鰹節もそうらしいです。
鰹節を寝かせるカビ付け庫にそれぞれの鰹節屋が独自のカビを、付着させるのだそうです。
味噌蔵も酒醸造所もそうですね。
それぞれの長い歴史の中で菌が住み着き、独自の美味しさを出していく。
同じレシピでも、パンの味もそれぞれのおうちで違ってくるということなんです。
すごいですね、面白いですね。
ご家庭の味を楽しんでいきましょう^^
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