トルティーヤとパン。
どちらも粉と水から作る生地ですが、焼き上がりはまったく違います。
一方はふっくら膨らみ、もう一方は薄いまま。
同じ「粉もの」の仲間なのに、なぜこんなに違う顔になるのでしょうか。
実際に発酵の実験をしてみた経験もあわせて、その理由を整理してみます。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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トルティーヤとパン。同じ小麦粉なのに、なぜ片方は発酵させないの?
トルティーヤという生地の成り立ち

トルティーヤは、薄力粉とコーンミール、水、オリーブオイル、塩を混ぜて少し休ませ、薄く伸ばして焼くだけの生地です。
酵母は使いません。
こねるというより、粉っぽさが残らないように混ぜ合わせる程度。
生地を丸めてラップをかけ、20分ほど休ませたら、あとは薄く伸ばしてフライパンで焼くだけ。
パンのように何時間も発酵を待つ必要がないので、思い立ったらすぐに作れる手軽さがあります。

教室でトルティーヤをやった時に、生徒さんから「パンとの違い」を聞かれました。
同じ粉ものなのに、何が違うのか。
酵母入れるものと入れないものの違い。
今日は改めて考えてみたいと思います。
チャパティに酵母を入れてみた実験

以前、トルティーヤと同じように発酵させずに焼く
「チャパティ」というインドの薄焼きパンに、
あえて酵母を入れてみたらどうなるかを試したことがあります。
チャパティは、カレーと聞いて思い浮かびやすい「ナン」よりも、
実は庶民的で日常的な薄焼きパンです。
ナンは発酵させた小麦粉の生地を使いますが、チャパティは発酵させず、全粒粉をそのまま練って焼きます。
手軽さで言えば、チャパティの方がずっと身近な存在だと言えそうです。
実験でわかったこと
この実験では、ホシノ天然酵母を入れた生地、何も入れない生地、レーズン酵母を入れた生地の3種類を、同じ条件で焼き比べてみました。
焼く前の見た目は、正直ほとんど見分けがつきません。
20分ほど休ませてから薄く伸ばして焼くと、どれもそれなりに膨らみ、焼き上がりも食感も、大きな差は出ませんでした。

ただ、ここで一つ、はっきりわかったことがあります。
全粒粉より小麦粉の割合を増やすと、発酵による違いが出やすくなるということです。
全粒粉はふすまや胚芽を含む分、生地がまとまりにくく、酵母の働きだけでは短時間で変化が出にくいのだと考えられます。
オンラインレッスンで小麦粉だけを使って作った生徒さんからは、
「酵母を入れたら、ちゃんと膨らんだ」
という声もありました。
粉の種類と、発酵にかける時間。
この2つがそろって初めて、発酵の効果がしっかり出てくるようです。
パンとの決定的な違いは「時間」

トルティーヤやチャパティは、発酵させない、
もしくは短時間で仕上げる生地です。
一方パンは、酵母を入れて、じっくり時間をかけて発酵させます。
この時間の差が、そのまま仕上がりの差になります。
生地の中で酵母が働くことで炭酸ガスの気泡が生まれ、生地全体がふくらんでいく。
同時に、発酵の過程で独特の香りが立ち、旨みも増していきます。
焼く前の生地の弾力、焼いたときの膨らみ方、断面に広がる気泡の様子。
そのすべてが、発酵にかけた時間の分だけ変わっていきます。
トルティーヤの手軽さにも魅力がありますが、パンの発酵は、
時間をかけたぶんだけ、ちゃんと返ってくるものがある。
そう感じています。
どちらが優れているという話ではなく

同じ「粉と水の生地」でも、発酵させるかどうかで、仕上がりが変わります。
どちらが優れているという話ではなく、それぞれに合った役割があるのだと思います。
急いでいるときはトルティーヤやチャパティのような手軽さに頼り、
時間に余裕があるときはパンのようにじっくり発酵を待つ。
生地との付き合い方も、暮らしのリズムに合わせて選べたらいいなと感じています。
なお、以前「発酵なし パン」というテーマで、チャパティに酵母を入れる実験を詳しく書いた記事もあります。
あわせて読むと、この実験の背景がより詳しくわかりますのでぜひご覧ください。
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発酵なし パン – 発酵させなくてもいいパンに酵母を入れてみると、その違いは?チャパティで実験してみました





