家族に「美味しい!」と言われても
「これって本当にうまく焼けてるのかな?」
とモヤモヤすることはありませんか?
自家製酵母パン作りで迷いがちな
「過発酵」と「成功」の微妙な境界線
を見極める4つのサインについて解説。
失敗を恐れず、菌の声を聴くヒントをお話しします。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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家族は美味しいと言うけれど…天然酵母パンの過発酵サインとうまく焼けた?の境界線
春の訪れと、酵母たちの賑やかな足音

4月も後半に入ってきましたね。
山梨の森もすっかり春から初夏へ向かうような、暖かくて過ごしやすい日が増えてきました。
本当に爽やかな朝が迎えられて、あぁいい季節だなあと思うんですが、こうして暖かくなってくると、瓶の中の酵母たちの活動もぐんと活発になってくるんです。
そうすると、パン作りの発酵時間にも少しずつ変化が出てくる季節です。
今日は、昨日レッスンに来てくださった生徒さんのエピソードから、パン作りで皆さんがよく立ち止まるお悩みをシェアしたいと思います。
過発酵になったパンってどんなパンなのか。
うまく焼けていると思ってしまう
あの微妙な線の見極め方についてお話ししていきます。
生徒さんが持ってきてくれた答え合わせのパン

昨日のオンラインレッスンの時に、生徒さんがご自身で焼いた
自家製酵母のパンを持ってきてくださったんです。
宿題として焼いてみてくださいねとお伝えしていたものを
実際に家で焼いて、画面越しではなく直接見せに来てくださいました。
これって本当に素晴らしいことで、私はすごく嬉しいんです!
その方は、ご家族のために一生懸命パンを焼いていらっしゃって。
ご家族も喜んで食べてくれたそうなんです。
でも、果たしてこれが本当にうまく焼けているのかどうか、
ご自分では分からなくて不安に思って持ってきてくださったんです。
まず、家族のためにパンを焼いて、それを喜んで食べてもらえること。
これが第一歩ですし、大成功です!
実はお家で焼くパンには、焼きたてマジックみたいなものがあります。
オーブンから出したばかりのパンや、その日のうちに食べるパンって
それだけで十分に美味しいんです。

さらに、酵母マジックというのもあって、天然酵母のパンは
小麦の甘みや旨みを引き出す力があるので、多少発酵の見極めがずれていても美味しく食べられてしまうんですね。
そういう不思議な力があるんです。
でも、その生徒さんはとても熱心な方なので、もっと本質的にうまく焼けているのかを知りたいということで持ってきてくださいました。
私も実際にパンを見せていただいて、試食をさせていただきました。
すると、生徒さんがご自身で感じていた、なんだか微妙な違和感の正体がわかりました。
そのパンは、少しだけ過発酵気味になっていたんです。
自分で気づける!過発酵パンの4つのサイン

過発酵というのは、文字通り発酵させすぎた状態のことです。
酵母が活動しすぎてしまって、一番美味しいピークのところで成形をして二次発酵を迎えたいのに、そこを行き過ぎてしまっている状態です。
この過発酵とうまく焼けたという微妙な境界線って、本当に自分一人で見極めるのは難しいんです。
試食させていただいたパンには、過発酵の時に現れる4つの特徴的なサインが出ていました。
①かま伸びしない膨らみの悪さ

ご本人もおっしゃっていたんですが、少し膨らみが悪かったんです。
酵母が生地を持ち上げるための力をすでに使い果たしてしまっているので
オーブンに入れてもそこからさらにグンと膨らむことができないんです。
少しペタッとした状態になってしまっていました。
②断面の目が詰まっている
中の生地の様子を見るために、ナイフで丁寧に切ってみたんです。
そうすると、ふわっとした気泡が入らなくて、切った時の断面がギュッと詰まっているのがわかりました。
触った感じも、もちっとしすぎているというか、ずっしりとした重たい感触がありました。
③ふわっと香るアルコール臭
断面の匂いを嗅ぐと少しアルコール臭がしました。
食べた時にも少ししました。
小麦と酵母の甘くて芳醇な良い香りが飛んでしまって
発酵が進みすぎるとアルコールのような匂いが残ることがあるんですね。
④鼻の奥に残る酸味
これが一番わかりやすいサインかもしれません。
食べた時に、鼻の奥に少しツンとした酸味を感じました。
ほのかな酸味だと慣れていない方はわかりにくいかもしれませんが、発酵が進みすぎると生地の中の乳酸菌や酢酸菌が強くなって、酸っぱさが残ってしまいます。
生徒さんのパンはこの境界線のギリギリのところにあったので、食べられないというわけではなく
焼きたてなら美味しいですし、噛めば噛むほど粉の旨味が味わえるパンでした。
でも、目が詰まっていて少し酸味があるという、本当に微妙な線だったんですね。
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パン 発酵し過ぎ – パン生地の一次発酵と二次発酵でのそれぞれの過発酵の状態と味の違いを天然酵母パン講師が解説
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パン作りをする上で、この微妙な線で悩んでいる方はすごく多いんです。
失敗ではないけれど、大成功でもない気がするというモヤモヤですね。
もし、焼く前の段階で生地がダレてしまって過発酵だと気づいたら、思い切ってピザにしてしまうのがおすすめです。
ソースや具材の味で美味しくいただけますよ。
でも、今回のように焼いてしまってから酸味や目の詰まりに気づくこともありますよね。
そういう時は、ライ麦パンのような感覚で楽しんでみてください。
チーズやハム、お肉系の具材、あるいは少し味の濃いディップなどを合わせて
オープンサンドやサンドイッチの形にして食べていただくのが一番合います。

酸味のあるパンは、お肉やチーズの脂分とものすごく相性が良いんです。
生徒さんにもそのようにアドバイスさせていただきました ^ ^
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失敗パンはリメイクで絶品に!パン過発酵は食べられる?プロが教える救済活用術
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そうやってモヤモヤした時に、今回は膨らみが悪くて
少し酸味があったから過発酵気味だったんだなと
事実として分析できるようになると素晴らしいですよね。
そうすれば、次回の発酵時間を少し短くしてみようとか
温度を下げてみようとか、前向きな対策が取れるようになります。
ここが一番難しくて、でも一番面白いところでもあるんです。
家族が美味しいって言ってくれる焼きたてマジックを大いに楽しみながら
一方で生地の本当の状態を冷静に見極められるようになる。
その両方ができると、パン作りはもっと自由に、もっと楽しくなります。
ぜひ皆さんにも、この菌と対話する楽しさを味わっていただきたいなと思います。
これってどうなのかなって迷った時は、今回のようにいつでも私のところに持ってきてくださいね。
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楽しくやっていきましょうね!



