朝起きたらパン生地がパンパンに!
自家製レーズン酵母で過発酵させてしまったプロのリアルな失敗談と、
そこからリカバリーして焼き上げるまでの記録です。
成形がうまくいかない時の状態や、失敗しても捨てずに焼くことで得られる
「生地からのメッセージ」
をお話しします。
パン作りのプレッシャーが軽くなれば嬉しいです。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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毎朝メールより音声配信をしています。
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【プロの失敗談】朝起きたら生地が過発酵…!レーズン酵母の底力とリカバリー術
今日は朝から雨が降っています。
雨が降るって、天気予報を見ていなかったのでびっくりしたんですけど
しとしとといい音がしております。
今日、発酵メンバーさんと琵琶の葉を取りに行くっていうお約束をしていたんですが・・・
午前中は雨が降るみたいなので、時間をずらした方がいいかななんて思っています。
そんな雨の日の朝ですが、今日はちょっとマニアックなパンのお話をしようかなと思います。
ズバリ、やらかしちゃったというお話です(><)
昨日は発酵のサロンメンバーさんとの「ゆるり発酵サロン」のオリエンテーションがあって
皆さんとどうやって進めていこうか、みたいなお話をさせていただきました。
そして午後からは、新しく始まった短期オンラインプロ講座の
第1回目がいよいよスタートしました!
そのオンラインレッスンの見本用に前日に生地を仕込んでおいたんです。
早めに仕込んで室温にそのまま置いておきました。
朝、ラジオ配信もあるから4時には起きるんです。
だから早く起きるから大丈夫かなって思ってボウルを見たら……。
朝4時の衝撃。ボウルの中でパンパンに膨らんだ「事件」

もう、ボウルの中でパン生地がパンパンになっていました(汗)
あ、やばい〜〜
いわゆる過発酵の状態ですね。
季節の変わり目で気温が読めなかったりすると、こういうやらかしをしてしまうことがあります(笑)
ここで普通だったら慌てて「あ、生地作り直そうかな」って思うかもしれないですよね。
まだ時間もあるし、見本の生地だから完璧なものを用意しなくちゃって。
でも私は、この過発酵になった生地がどういうパンになるのか見たいなっていう好奇心がありました。
ボウルから出そうとすると、生地が結構ベタついていて。
ボウルにべったりくっついていて取り除くのがちょっと大変だったというか、手にもベタベタとまとわりつくような感触がありました。
「あー、やっぱり発酵が進みすぎちゃってるな」と手触りで実感しました。
捨てないという選択。過発酵生地をどう立て直す?

じゃあ、そんな生地をどうするのかってことですね。
ここで一旦、生地を優しく丸め直してみることにしました。
まずはどのくらいの張りが残っているのか、どういう生地の状態なのかを
自分の手で見て判断します。
ベタつく生地をなんとか丸め直して、しばらく置いておいたんですね。
そしたら割といい感じに状態を保っていたので、「あ、これはいけるな」って思いました。
2回目の発酵って結構早いんです。
いい感じでちょっとふっくらしてきたので、そのまま冷蔵庫に入れました。
そうすると冷蔵庫の中でふんわりと、もうなんかさっきの過発酵の事件はなかったかのように(!)いい感じで膨らんできたんです。
あ、これはもうしめしめっていう感じで(笑)
これならレッスンで使えるなと思って、そのままレッスンの時間である午後3時まで置いておきました。
隠しきれない「成形の限界」。生地がシワシワに…
いざレッスンの時間になって、見た目は全然いい感じに膨らんでいたので、このまま進めていこうと皆さんとレッスンを始めました。
でもね、やっぱりうまくいかない工程があったんです。
それが成形でした。
分割をして成形をしていく中で、うまく丸めができなくて。

生地の肌がね、結構シワシワというか、生地が破れる感じになっていくんです。
丸めた後も形をとどめにくくて、ちょっとぺったりと平たくへたってしまうような状態。
さらに、閉じ目もしっかりとまらずにすぐに剥がれてしまうんですね。
過発酵になった生地って、中のグルテン組織が限界まで引き伸ばされてしまっているんです。
だから一度ガスを抜いてリカバリーしようと思っても、
生地に弾力とか張る力が残っていないんです。
そこでいざ成形しようと思っても、生地がだれてしまって思ったような綺麗な形にならない。
表面を張らせることができないので、やっぱり限界があるなと感じました。
もうここは皆さんに正直に告白して(笑)
「実はこの生地、過発酵だったんです!」
うまくいかなかった例として、皆さんに見ていただくことにしました。
わざと失敗するなんてことはレッスンの時にはやらないし、やれないのでね。
ある意味、すごく貴重な体験になったんじゃないかなって思います。
過発酵についてもっと知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
パン過発酵 – 一次発酵し過ぎた生地はどんな状態?過発酵の生地、どうする?回復できるのか?
パン 発酵し過ぎ – パン生地の一次発酵と二次発酵でのそれぞれの過発酵の状態と味の違いを天然酵母パン講師が解説
過発酵でどうしようのない時はこちら
パン 過 発酵 救済 – 過発酵の生地どうする?〜失敗した生地の再利用法②
焼き上がりは「あっさり」。レーズン酵母が守り抜いた旨味

成形の肌荒れがあったので、焼き上がりの感じはちょっとどっかイマイチだったんですよ。
でも、味がどうだったかっていうのが私の楽しみの一つでもありました。
通常ここまで一次発酵の時に過発酵になってしまうと、生地の旨味が抜けてしまったりするんです。
酸味がツンと鼻の奥に通ったりとか、アルコール臭がしたりとかっていうことがあります。
でも、今回のレーズン酵母は違いました。
焼き上がりを試食してみたら、生地の旨味は結構残っていて。
酸味も全然感じられず、アルコール臭ももちろんありませんでした。
何がいつもと違うかっていうと、食べた時にクラム(中身)が軽い感じだったんですね。
だからとっても食べやすい。
割と市販のパンに近いような、あっさりとした感じにはなっていたかなと思います。
でも外側はいつもと同じようにしっかりと噛み応えがあって、本当にいい感じで美味しかったんです。
夫にも食べてもらったんですけど、「いつものように美味しい」と言ってました。
これ、食べ比べないとわからないぐらいのレベルだったかもしれないです。
やっぱりレーズン酵母の力はすごいなと思って、改めて感じました。
他の酵母だったら、何かしら焼き上がりにその爪痕が残るというか
腑に落ちないなっていうのが残ってたはずなんです。
レーズン酵母じゃなかったら多分うまくいかなかったという実感がありました。
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失敗の中にこそある「生地からのメッセージ」

季節の変わり目にはこんな失敗をすることがあります。
でも、失敗した生地から
「この酵母の特性なら、味はここまで守れるんだ」
ということ。そして
「でも成形はここまでが限界なんだ」
という、リアルな情報を得ることができました。
これこそが、自家製酵母パン作りの醍醐味だったり、マニアックな楽しさだなって思います。
皆さんもね、この私の失敗例を見て、逆に
「あ、ここまでなら大丈夫なんだ」
っていう安心感を持っていただけたんじゃないかなと思います。
もしやらかしちゃったという生地ができてしまっても、すぐに捨てずに
最後まで焼いてみてください。
そこには、教科書には載っていない
「生地からのメッセージ」が詰まっています。
ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。






