天然酵母でお菓子が焼ける
——でも、どの酵母で焼くかでお菓子はまるで別物になります。
フルーツ酵母・酒種・ヨーグルト酵母・ルヴァン種
それぞれの個性と、お菓子への使い方をご紹介。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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天然酵母でお菓子が焼ける——どの酵母で焼くかで、まるで別のお菓子になる話
天然酵母というのは、一種類じゃありません。
フルーツ酵母、酒種、ヨーグルト酵母、ルヴァン種……
それぞれに個性があって、同じレシピで焼いても、使う酵母によってお菓子はまるで別の表情を見せます。
今日はその「酵母の個性」という視点で、発酵菓子の世界をご紹介したいと思います。
酵母にも、個性がある——発酵菓子が教えてくれること
パン作りをしていると、酵母の違いはとても実感することです。
発酵の速さ、香り、生地の伸び方、焼き上がりの色——全部違います。
これはお菓子を焼くときも同じで、使う酵母によって仕上がりがまるで変わります。
「どの酵母を使うか」を考えることが、
発酵スイーツ作りの最初の楽しさかもしれません。
フルーツ酵母——香りを楽しむならこれ

フルーツ酵母で発酵菓子を焼くと、そのフルーツの香りが生きます。
ただし、フルーツによって香りが残りやすいものと残りにくいものがあります。
香りを生かしたいなら、香りが残りやすい酵母を選ぶことが大切です。
柑橘系×チョコレート。香りが重なる組み合わせ

柑橘系の酵母はお菓子に使うと、焼き上がりにほのかな柑橘の香りが残ります。
これがチョコレートケーキやカカオを使ったお菓子にとても合うんです。
柑橘×チョコレートという定番の組み合わせが、酵母の香りで自然に生まれてくる。
これは天然酵母で焼く発酵菓子ならではの楽しさです。
いちご・ブルーベリー……ベリー系酵母の世界

いちごやブルーベリーなどのベリー系酵母は人気の酵母です。
(特に女子に人気!)
春はいちご酵母、夏はブルーベリー酵母と、季節に合わせて変えていくのも楽しみ方の一つです。
ベリー系の酸味と甘みが発酵に乗って、ケーキやマフィンに表情を与えてくれます。
サクッとしたスコーンにも向いている

フルーツ酵母はサクッとした食感のお菓子にも向いています。
スコーンはその代表で、フルーツの香りがほんのり残りながらも、軽くサクッと仕上がります。
おやつ感覚でつまみたいお菓子には、フルーツ酵母がよく合います。
酒種——発酵が早く、ふわふわに仕上がる

酒種はお米と麹から作る、日本の発酵種です。
他の酵母と比べてとにかく発酵が早いのが特徴で、
これがお菓子作りに慣れていない方にもとっつきやすい理由の一つです。
初めての方でも始めやすい理由
天然酵母のお菓子というと、難しいイメージを持たれる方もいます。
でも酒種は発酵の進みが早く、比較的スムーズに扱えるので、発酵菓子の入り口としてとても向いています。
「天然酵母でお菓子を焼いてみたい」という方に、まず酒種をすすめることが多いです。
重い生地を軽くしてくれる力

酒種のもう一つの特徴は、ふわふわ感が出やすいことです。
バターや卵がたっぷり入ったケーキやマフィンのような重い生地でも、酒種の発酵力がしっかり持ち上げてくれます。
翌日も柔らかさが続くのも酒種の魅力です。
ただ、スコーンのようにサクッとした食感を出したいものや、タルト生地のようにクリスピーに仕上げたいものには、あまり向きません。(調整して使います)
酒種はふわっとした仕上がりになるので、食感がパンに近くなります。
食事のようにしっかり食べるケーキ、重い生地を軽やかに仕上げたいときに力を発揮します。
ヨーグルト酵母・ルヴァン種——通年使える酵母の個性
フルーツ酵母は季節に左右されますが、ヨーグルト酵母とルヴァン種は一年中仕込める酵母です。
ヨーグルト酵母のほんのり酸味と膨らみの良さ

ヨーグルト酵母はヨーグルトから起こす酵母で、仕込みやすく膨らみも良いです。
焼き上がりにほんのりとした酸味が残り、それがお菓子の風味になります。
ヨーグルトの爽やかさがお菓子に生きる感じで、軽やかな仕上がりになります。
ルヴァン種が持つ、小麦の香ばしさという個性

ルヴァン種(サワードゥ)は粉と水だけで起こすフランス発祥の伝統的な酵母です。
小麦の香ばしさが前に出てくるのが最大の特徴で、この香りがお菓子にとても良い個性を与えます。
シンプルな材料のお菓子ほど、ルヴァン種の香りが際立ちます。
「どんなふうに食べたいか」で、酵母を選ぶ
整理すると、こんな選び方ができます。
香りを楽しみたいとき——フルーツ酵母。季節のフルーツで変化をつける楽しさもあります。
小麦の香ばしさを楽しみたいとき——ルヴァン種。
サクッとおやつ感覚で食べたいとき——フルーツ酵母やルヴァン種が向いています。
ふわふわ・しっとりをしっかり食べたいとき——酒種。パンに近い満足感があります。
「何を作るか」より先に
「どんなふうに食べたいか」
を考えると、酵母選びが楽しくなります。
同じケーキでも、酵母が変わればまるで別の表情になる。
これが発酵菓子の醍醐味です!

発酵スイーツという言葉も、最近少しずつ広まってきています。
ベーキングパウダーではなく、天然酵母の力で膨らませたお菓子。
酵母の個性が生きる、食べたことのない味と食感。
ぜひ一度、試してみてください。




