パン教室を17年続けてわかったこと。
レシピは学べる時代だからこそ、先生の仕事は
「その先の未来」
を見せることだと気づいた、実体験をお話しします。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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先生業はレシピを教える仕事じゃない——生徒さんの未来を見せる仕事
パン教室を始めて、17年目になりました。
長く続けてきたからこそ、あらためて感じることがあります。
「先生」という仕事は、
レシピを教える仕事ではないんじゃないか
ということです。
今日は、卒業生の方からいただいた嬉しい報告と
18歳の頃に出会った2人のバレエの先生の話。
そして
初めて自家製酵母を習った先生からもらった、今も私の基盤になっている言葉を通して、
そのことを書いてみたいと思います。
卒業生からの嬉しい報告——レシピ開発から商品化、そして販売へ

先日、プロコースの卒業生の方にお会いしました。
以前から、職場でパンのレシピ開発と商品化に向けて動いているというお話を聞かせてもらっていました。
ブログやラジオでも、その様子を少しご紹介していたので、覚えてくださっている方もいるかもしれません。
自家製酵母×自家栽培小麦で手作りパンを商品化!プロ卒業生が夢を叶えたストーリー
その方が、さらに進捗を教えてくれたんです。
今度は、商品の販売に向けての作業も任せてもらえるようになった、と。
職場が忙しくなって、お菓子の製造も担当することになったという話も聞きました。
これを聞いて、本当に嬉しかったんです。
先へ、先へと進んでくれている。
その姿を見られることが、私にとって何よりの喜びなんですね。
頑張っている姿を見せてくれることは、
今の生徒さんたちにとっても励みになりますし
私自身にとっても、さらに頑張ろうというエネルギーになります。
レシピは学べる時代——それでも温度感のある場所で学ぶ理由

レシピを知る、学ぶということ自体は、今はネットでもできます。
YouTube動画もたくさんありますし、今の時代はAIに聞くことだってできます。
AIの情報が正しいかどうかは、まだ疑問なところもありますが(!)
手軽に、気軽に学べる時代になったのは間違いありません。
ただ、その先どうなっていきたいのか。
そこを考えたときに、実際に顔を合わせて、温度感のある場所で学んでいただくことが、
どれだけ効果があるか
どれだけ未来につながるか
そのことを、卒業生の方の姿を見て、あらためて感じています。
レシピに価値がない、と言われるようになって、もう数年が経ちます。
レシピを教えてお金をいただく、という時代は終わってしまったのかもしれません。
だからこそ、
温度感のある場所で学ぶ
ということは、気持ちをワクワクさせてくれますし、感動もさせてくれます。
そういう経験を体験したいということ。
それが、今の時代の学び方なんじゃないかと思っています。
18歳、バレエ教室で出会った2人の先生

未来を見せるということについて、思い出す出来事があります。
18、19歳の頃、私は劇団の養成所に飛び込みました。
養成所では、体作りのカリキュラムがしっかり組まれていて、モダンバレエも習っていたのですが、その基礎になるのはクラシックバレエだと思い、別に1年間、クラシックバレエを習いに行っていました。
その教室に、先生が2人いたんです。
厳しいけれど圧倒的なオーラを持つ、現役の先生
1人は、教室の主催者の先生でした。
現役で活躍されていて、大きな会場での舞台も見に行かせてもらったことがあります。
すごく素敵な方で、圧倒的なオーラを持っている方でした。
ただ、現役で厳しい環境で仕事をされているからか、教え方も厳しかったんです。
一から順番にステップを踏んで、丁寧に教えていくタイプではありませんでした。
見本を見せてくれると、ものすごく素晴らしくて、感動してしまう。
でも、初心者にとっては、正直、ついていくのが難しい先生でした。
優しく丁寧に教えてくれた、もう一人の先生

もう1人の先生は、現役で仕事をされているわけではなく、昔バレエをやっていたという方でした。
物腰が柔らかく、教え方もとても丁寧で、上手な方だったんです。
技術の面では、主催の先生とは全く違う印象でした。
今思うと、主催の先生の教え方があまり上手ではなかったのは、多分、できてしまう方だったからなんだと思います。
才能がある分、できない人に寄り添うのが上手くなかったのかもしれません。
もう1人の先生は、できない人の気持ちにすごく寄り添って、一歩一歩、進んでくれる先生でした。
私が惹かれたのは、未来を見せてくれる先生だった
2人を見ていて、当時、完全な初心者だった私が、どちらに憧れを持っていたかというと、教え方は上手じゃないけれど、オーラを持った先生でした。
今思うと、これはやはり、未来を見せてくれていたんだと思います。
この先生のようになりたい。
そのためにはどうすればいいのか。
先生のバレエを見ると感動して、初心者なのに、それに近づきたいという情熱が湧き上がってくる。
そういうことだったんだと思います。
「習いたいと思う人がいれば、それでいい」——先生の言葉

もう一つ、レシピ以上のものをもらったと感じる経験があります。
私が初めて自家製酵母を習った先生です。
そんなに長い期間習っていたわけではないのですが、すごく印象に残っています。
その教室は、ご夫婦で運営されていました。
あるとき、ご主人の先生に、こう相談したことがあったんです。
「教室って、資格がなくてもできるんですか。
どうなったら教室ができるようになりますか」
そう聞いたときに、こう答えてくれました。
「あなたに習いたいと思う人がいれば、それでいいんだよ」
習いたいと思う人がいれば、教室はできる。
そうだったんだ!と。
なんだか、「おおっ」という感動すら覚えました。
その言葉は、今でも私の心に残っていて、私の基盤になっています。
生き方とか、あり方みたいなものを教えてくれる
それが、レシピ以上のものをもらうということなんだと、今も思っています。
まとめ——先生という仕事は、その先の景色を見せること
今日は、「先生業はレシピを教える仕事じゃない——生徒さんの未来を見せる仕事」というテーマで書いてみました。
プロコースの卒業生の方が、レシピ開発から商品化、
そして販売の作業まで任せてもらえるようになったという嬉しい報告。
レシピは学べる時代だからこそ、温度感のある場所で学ぶことが未来につながるということ。
18歳の頃のバレエ教室で出会った、教え方が上手な先生とオーラを持った先生。
私が憧れたのは、未来を見せてくれる先生でした。
そして、「習いたいと思う人がいれば、それでいい」
と教えてくれた、初めての酵母の先生の言葉。
レシピを教えるだけでは終わらない。
その先の景色を見せることが、先生という仕事なんだと、私は思っています。
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