パン作り歴20年以上、そして自家製酵母の魅力に惹かれて
教室を開いてから16年。
今回は、私が日々のパン作りの中で実感している
「手ごねパンの魅力」
について、体験談を交えながらお話しします。
「手ごねって大変そう…」
「機械ごねのほうが効率的なのでは?」
そんな風に思っている方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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手ごねパンとは?パン作り初心者でも楽しめる本当の理由

手ごねは、パン作りで最初に取り組む方が多いかと思います。
もちろん最初は少し力がいりますが、
慣れてくると生地の変化が手に伝わってきて、パン作りがどんどん楽しくなっていきます。
「無心になれる」
「集中していると気持ちがいい」
そんな声を、教室の生徒さんからもよく聞きます。
実際、私自身も「手ごねの時間」がとても好きです。
家事や仕事に追われていた時期、
パン作りをしていると自然と集中して無心になり
気づけば気持ちがスッキリしている。
まるで瞑想のように、心を落ち着かせる時間が手ごねにはあるんですね。
まさに
「自分と向き合う手ごね時間」
「手ごねが好き」
そういう風に言う生徒さんは多いです。

実は手ごねの工程は技術的にもいい面があります。
手ごねには癒しだけでなく、パン作りにおいても
「天然酵母パンらしさ」が出せる
という大きなメリットがあります。
特に天然酵母との相性は抜群です。
パン作り「手ごねの3つの技術的メリット」

1. こねすぎないことで天然酵母の風味を守れる
機械ごねは非常にパワフルで便利ですが、ついやりすぎてしまうことがあります。
特に天然酵母パンの場合、こねすぎると酵母や小麦の持つ自然な香りや風味が損なわれることも。
手ごねなら、自分の手の感覚で「ちょうどいい」を見つけられる。
これが、手ごねの最大の魅力のひとつです。
2. グルテン形成を手の感触で調整できる

生地をこねる中で、グルテンがどう伸びるか?
それは手で触れていると自然とわかってきます。
この“感触の記憶”は、機械では得られません。
3. 水分調整や粉の種類に柔軟に対応できる

粉の違い、水分の吸収具合、気温や湿度。
毎回微妙に変わる条件にも、手ごねなら柔軟に対応できます。
手ごねが「天然酵母と相性が良い3つの理由」
1. 生地を活かす

天然酵母はどっしり感と食べ応えも魅力の一つ。
強すぎる力ではなく、丁寧にこねることで、その力を最大限に引き出せます。
そのため、私の教室では「叩く」こね方はやりません。
2. 香りや風味が引き立つ

天然酵母ならではの「酸味」「香り」「旨味」。
これらは、こねすぎることで消えてしまうことがあります。
手ごねなら、風味を損なわずに美味しく仕上げることができます。
3. 自然な発酵リズム

手ごねは、パン作りを「急がない」方法でもあります。
天然酵母の自然な発酵リズムに、手ごねはとてもよく合うのです。
機械ごねとの違いは?手ごねの強み
機械の便利さ vs. 手ごねの“感覚”

もちろん、機械ごねには効率という最大の武器があります。
大量に仕込む、時間がない、という場面では機械が活躍します。
一方で、手ごねは「パン作りの原点」。
自分の手の感覚でこねることで、技術が身に付き、愛着も湧いてきます。
また、教室で手ごねを取り入れると、生徒さんの“手が覚える”のが早いんです。
手でこねることで、「パンってこうやって変わっていくんだ」と実感しやすく、
焼き上がったときの感動も倍増します。
「販売向き」なのは機械ごね、でも家庭なら手ごね体験を

販売を目的とするなら、やはり時間や体力的にも機械ごねの方が効率的。
私自身も、販売をしていた頃は機械を使っていました。
最近はニーダーと呼ばれるような「パンこね機」や
「ホームベーカリー」でこねだけやってもらうと言う方も多いと思います。
簡単で、機械がこねてくれるのでその間に別の仕事もできる。
私も仕事でたくさんこねる時は必需品で使っていますが、仕事量が多いときは助かっています。
とても楽です(笑)
そういう時ももちろんあっていいですが、こんなご時世
自分時間を楽しむ
落ち着きたい時
こころ静かになりたい時
など、手ごね時間ってそういう良さがあるなあと思います。
手ごねをされている方はおそらく心当たりがあるのではないでしょうか!
家庭でパンを楽しむなら、一度は「手ごね」を体験してみてほしいなあ、と思います。
パン生地が変わっていく感覚や、焼き上がったときの喜び。
それは、手ごねだからこそ味わえる特別な瞬間です。
無理をしない、という選択も大切に
ただ、手ごねには力が必要です。
以前、あるご年配の生徒さんから
「手ごねは大変なので、機械を使ってもいいですか?」
と聞かれました。
もちろんOKです!
楽しんで続けることが一番なので、無理は禁物。
「今日はこね機で」「元気な日は手ごねで」――そんな柔軟さも大切です。
体験談|手ごねを続けて見えてきた“心とパンの変化”
私が最初パン作りを始めた時、
テレビをみながら(当時はテレビがあったんです、今はないんですが)
とか子供と話をしながらとか、何かをしながらこねていた事がよくありました。
でも、ちょっと時間があるからといって誰もいないときに集中してこねる時もありました。
そういう時って、なんかふと考え事が頭をよぎったり、頭は真っ白でこねだけに集中して
一生懸命こねていたり・・・
人間の頭の中って不思議です。
全然関係ないことを思い出したり、ふと見ていた夢を思い出したり、忘れていた記憶が蘇ったり。
冒頭でも少しお話ししましたが
座禅によく似ている
と思いました。(瞑想という人もいます)
座禅は若い頃、福井のお寺に泊まりがけでさせてもらいに通った事があります。
当時はまだ二十歳ちょっとくらいでしたが、いろんなことを学びました。
とても面白く興味深い体験をさせていただいたんです。
(その時のお話はまたどこかでできれば、と思いますが)
その時の感覚とよく似ているのです。
こねていて集中する時、座禅の感覚だなと思いました。

そういう話を生徒さんたちにすると、「わかる、わかる!」という話になるんですね。
小さいお子さんがいらっしゃる方は毎日バタバタと子供中心の生活を送っているわけですが
パンをこねている時が「自分の時間」になるとおっしゃいます。
心静かになれる時間、ということですね。

まとめ|手ごねで得られるのは“癒し”と“技術”の両方
手ごねは、単なる手段ではなく、パン作りの楽しさを深く味わえるプロセスです。
集中力、癒し、感覚、風味、そして何より「自分の手で作った」という満足感。
天然酵母の魅力を最大限に引き出す方法としても、手ごねはとても優れています。
「今日はちょっと手を動かしてみようかな」
そんな気持ちがわいてきたら、ぜひ一度、ゆっくりと手でこねてみてください。
集中して出来上がった後、
つるっつるの生地をみた時の嬉しさ、爽快さは格別です^^

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