天然 酵母 パン 酸っぱい – 酸っぱいパンの原因は酵母作りから始まっているかも?現役パン講師が解説

天然酵母パン 作り方−ポイント、実験、裏話など

天然酵母パンのイメージってありますか?
まだ天然酵母という名前すらあまり知られていなかったころ、
またはだんだんと知られ始めて着た頃

天然酵母のパンは酸っぱくてかたい

と言われていました。
よっぽどのパン好きか、マニアックな人が食べるパン?
みたいな感じ、外国のパンのイメージもありましたね。
おそらく(私が想像するに)まだ情報があまりなく、作ってもそんなパンに
なってしまうことが多かったのではないでしょうか。

うちの田舎には天然酵母のパン屋さんはなかったし、
作る人もいなかったので、そんな噂もなかったですが(笑)
私が知ったのは東京に来てからです。

パンが酸っぱくなるというのは理由があります。
今日はそんなお話をしてみたいと思います。

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天然酵母ぱん蔵の  椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、酵母生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室をやっています。

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天然 酵母 パン 酸っぱい – 酸っぱいパンの原因は酵母作りから始まっているかも?現役パン講師が解説

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パンが酸っぱくなる原因

ご自分で自家製酵母のパンを作られる方は「パンが酸っぱくなってしまった」
という経験がありますか?
私はたくさんあります(笑)

今は天然酵母のパン屋さんもたくさんあって、美味しいパンがたくさんありますので
「天然酵母のパンって酸っぱいの?」
なんていう方もいらっしゃるかもしれません。
情報もたくさんあって、工夫もできるし、美味しいパンが作れるようになりました。
ご家庭でもやわらかくて、小麦の味がしっかりするパンが
作れるようになったので昔ほどはそんなイメージはないかもしれません。

でもたまに自家製酵母のパン屋さんでも「酸っぱいパン」にお目にかかることもあります。
自分で作った時も酸っぱいパンになってしまうことがあります。
実は以前、プロフェッショナルコースで桃酵母をやったことがありました。
この時に「酸っぱいパン」が続出。
なんで??
ということになって話題になりました。

冒頭でお話したように酸っぱくなるには理由があります。
それは作る過程でいろいろな要素が絡んできます。
大抵は生地発酵の時の過発酵が原因なんですが、
発酵もちゃんとできたのになんで??
という場合があります。
見た目はとってもいい感じ、だけど食べたら酸味が・・・!
ということがあるんですねー。
そんな時は別のところに原因がある場合があります。
そこを探っていきたいと思います。

酵母作りに問題が?

いろいろな原因が考えられますが、今日はその原因の一つである
「酵母起こし」に焦点を当ててお話しようと思います。

自分で酵母を起こしていくときに、代表的なところではレーズンとか、
果物とかで作っていくと思います。
その時に瓶の中はもちろんですが、空気中にも菌はたくさん存在しています。
カビもそうですね。
酵母作りをしていく段階で、いろんな菌が混在しているわけですが、
悪い菌(人間にとって都合の悪い菌)をあまり活動させないで、良い菌を増やしていく。
パン作りにおいては酵母菌を増やしていくということです。
酵母菌を活発化させる環境を作っていくのです。

それは温度であったり、酸素であったりするんですが、酵母菌を増やしていく段階で
アルコール発酵というものがあります。
この段階を経ていくときに酢酸菌というものも発生します。それが増えていくと酸っぱくなってしまいます。
もう一つは乳酸菌です。
これも酵母つくりの過程の中で発生するのですが、これも増えると酸味が出てくることがあります。
だいたいこの2つを注意すればいいかと思います。

酵母菌を増やして他の菌を増やさない

ではいい環境で酵母菌を増やしていくのにはどうすればいいのでしょうか。

酸素を取り込む

アルコール発酵をしていく段階で酵母菌を増やしていくのに大切なのは
酸素を取り込むことです。
酵母菌も生物です。息をしています。
増殖するためには呼吸をしてエネルギーを作り出さなくてはいけません。
そのためにたくさん空気を送り込んであげることが大切になってきます。
ではどうすればいいか?
かき混ぜてあげればいいのです。
気がついたらカシャカシャ、とかき混ぜる。
お仕事とか、忙しくて頻繁に出来なくても大丈夫です。
少なくても1日1回はかき混ぜて酸素を取り入れてあげましょう。

温度に注意

あとは注意することは温度です。
酵母菌を増やしていくときに適温は25~30度くらいと言われることが多いかもしれませんが、ざっくり30~40度くらいまでが活発に増えていきます。
しかし酢酸菌なども増えやすい温度になるので、理想的にはちょっと
低めの温度で時間をかけていく
のが良いかと思います。(私の感想ですが)
室温でやっていくときに真夏などは特に気を付けていただいて、
高い温度のところには長時間置かない
ということが大切になってきます。

少々の糖分

酵母菌のエサとして少々の糖分をあげると活性化してきます。
素材そのものに甘みがあるものは必要ないこともありますが、
甘みの少ないものには糖分を加えてあげるといいです。
その時に注意したいのは多くなりすぎないことです。
たくさんあげればいいというものではありません。
酵素ジュースやシロップを作る液を酵母にできますか?
と言われることがありますが、うまくいかないことも多いのです。
糖分が多すぎても活動が鈍ってくる。
人間も同じですね。
お腹いっぱいだと動けない(笑)
ちょっとお腹が空いているくらいがちょうどいいのです。

スターターを使う

こちらは有効です。
前に作った酵母液があればそれを少々入れてあげます。
酵母の塊ですから、すぐに環境が整います。
環境が整う、ということは他の菌に邪魔される確率が下がってきます。
そして仕上がりも早くなります。
いい環境を整えてあげることは酵母菌が活動しやすいということになります。

スターターについてはこちらの記事に詳しく書いてあります。
自家製天然酵母作りでスターターってなに?プロが教える失敗しない酵母エキス作り

天然 酵母 パン 酸っぱい – 酸っぱいパンの原因は酵母作りから始まっているかも?現役パン講師が解説 まとめ

いかがでしたでしょうか。
パンの出来上がりの酸味にはいくつかの原因が考えられますが、
今日は「酵母液」に焦点を当てて考えてみました。

そのほかの原因についてはこちらの記事もご参考にどうぞ。
自家製天然酵母で作るパンは酸っぱいものなの?!酸っぱくなる3つの原因とは? これがわかれば美味しいパンが作れます

あまり気にしすぎていつも気になる、と酵母が気になってストレスがたまる・・・
なんてことになったら大変です。
慣れないうちはそんなこともよく聞きます。

神経質になり過ぎないで目をかける

ということが大切かな、と思っています。

酵母作りって子育てと同じだなあと思うことがあります。
あまり監視し過ぎないで、見守りつつもたまに「よしよし」してあげる。
気にしすぎるとこちらも疲れてしまいます。
まあ、失敗しても気にしない!またチャレンジすればいいのです。

どうぞ、大きな心でどんと付き合っていきましょう^^

 

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