冷蔵庫の奥に眠っている自家製酵母、
怖いからと捨ててしまう前にちょっと待って!
今回は賞味期限という「数字」ではなく、
自分の「鼻」と「目」で
発酵と腐敗を見分ける方法をお伝えします。
失敗を恐れず、一生モノの「野生の勘」を一緒に育てましょう!

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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【自家製酵母の寿命】冷蔵庫で放置した酵母はいつまで使える?腐敗と発酵を見分ける一生モノの選球眼
冷蔵庫の奥に眠る謎の瓶…開けるのが怖いこと、ありませんか?
冷蔵庫の奥の方にいつ作ったかわからない酵母の瓶が眠っていませんか(笑)
恐る恐る取り出して、うわっこれいつ作ったんだろうって悩むことありますよね。

先月かな、まだ生きてるかな、それとも腐ってるかなって。
開けるのをためらってしまって結局怖いからそのまま捨てちゃうという経験、私にもたくさんあります。
教室でも生徒さんから一番よく受ける質問なんです。
「先生、この酵母まだ使えますか?」
不安な気持ち、すごくよくわかります。
なぜ私たちは目の前の酵母が使えるかどうかこんなにも不安になるのでしょうか。
それは現代の私たちがスーパーの食品に印字された
消費期限という数字に慣れてしまっているからなんですよね。

何月何日までと書いてあれば安心して食べるのに、
数字がないと途端に食べて大丈夫かなと不安になります。
そして数字を少しでも超えちゃっていると、もしかして食べられないかもと自分の感覚よりも誰かが決めた数字を信じてしまうんです。
でも以前にもお話しした通り、酵母は生き物です。
今日から腐りますという明確なタイマーがあるわけじゃないんですよね。
環境によって長持ちすることもあれば、すぐにダメになってしまうこともあります。
だから正解は外側にある数字ではなくて、目の前の酵母をちゃんと見て判断するしかないんです。
発酵と腐敗は同じ!?五感で嗅ぎ分ける野生の勘

実は微生物が活動して物質を変化させるという意味では、発酵も腐敗も科学的には全く同じ現象なんです。
私は菌の活動のことをすべて発酵と呼ぶようにしているんですが、私たちの都合によって人間に有益なものを発酵と呼び、害のあるものを腐敗と呼んでいるだけなんですね。
じゃあどうやって見分けるのかというと、それは自分自身の鼻と目です。
私たち人間には有害なものを避けるための本能的なセンサーが備わっています。
蓋を開けてクンクンと匂いを嗅いでみてください。
アルコールのようなフルーティーな香りがすればそれは大正解です。
逆にツンと刺さるシンナーみたいな匂いがする時や、生ゴミみたいなちょっとうんと顔をしかめたくなる匂いがした時。
少しでもそういう違和感がよぎったら、それはもう腐敗している可能性が大きいです。
あなたの本能が危険というサインを出している証拠なので、
それは潔くやめておいた方がいいですね。
酸っぱい匂いは腐敗とは限らない?

よく生徒さんから酸っぱい匂いがするんですと言われることがあります。
「先生、これダメになっちゃいましたかね(><)」
これは乳酸菌や酢酸菌が増えることで酸っぱくなってしまう現象なんですね。
お酢みたいな匂いだったら、実は酵母としてはまだまだ使えます。
実際に酸っぱい匂いがする酵母液でも、そのまま発酵種である元種を作ってもらうと、案外普通に発酵が進んで美味しいパンが焼けることが本当に多いんですよ。
ただしパンそのものに酸味が出てしまう可能性はあります。
傷んでいなければ食べても大丈夫なんですが、傷んだ食べ物の危険な酸っぱさなのか、ただ乳酸菌が増えただけの酸っぱさなのか。
この微妙な違いを嗅ぎ分けるのも鼻のトレーニングになります。
白い膜と青カビの違いを目で見る
視覚の具体例として、表面に白い膜が張っていることがあります。
これは産膜酵母といって無害なことが多いので基本的には大丈夫です。
でも青や緑や黒っぽいフワフワした明らかなカビが生えていたら、これはもう潔くさよならしましょう。
最初は自信がないかもしれません。
でも怖いから見ないでそのまま捨てるということはしないで、
必ず蓋を開けて、怖くても見て、嗅ぐということを習慣にしてみてください。
すると、あ、この匂いはダメなんだなとか、
これぐらいの膜なら平気なんだなという経験が自分の中にストックされていきます。
放置したレーズン酵母がプシュー!と吹き出す生命力

ダメかなと思っても、勇気を出して蓋を開けると驚かされることがあります。
長く冷蔵庫の奥に置いていたレーズン酵母なんて、もうさすがにダメだろうなと思って開けたら、プシューッ!!って元気にガスが吹き出すことがよくあるんです。
「あら、まだこんなに元気だったんだね」
思わずそんな風に幸運なツッコミを入れたくなってしまいます(笑)
菌たちの予想を超えた生命力を感じて、愛おしくなる瞬間です。
自分の感覚を信じれば、パン作りはもっと自由になる
どんなマニュアルにも載っていない自分だけの経験のストックこそが、一生モノの野生の勘になっていきます。
自分の五感で判断できるようになった時、
パン作りの本当の自由と楽しさが手に入ります。

もう消費期限の数字に怯えることはありません。
積極的に失敗をして、自分の経験を積み重ねていただきたいなと思います。
冷蔵庫の奥の酵母、勇気を出して蓋を開けてみてくださいね。
あなたの五感はとても優秀です。
補助輪つきで選球眼を養うプロ講座
とはいえ最初はやっぱり一人で判断するのは怖いですよね。
だからこそ私が今やっているプロ講座では、生徒さんたちにこの選球眼を養ってもらうサポートをしています。
「先生、こんな匂いでこんな膜が張ってます」
そんな風に写真や状態を送っていただいて、私がこれは大丈夫とか、これはちょっと危ないよねと判断をしています。
この補助輪があるからこそ、生徒さんは安心して失敗できて、確かな自信と野生の勘を身につけていけるんです。
数字ではなく命として菌と向き合う。
そんな発酵食のある暮らしを、これからも一緒に楽しんでいきましょうね!
産膜酵母についてはこちらの記事も参考にしてください。
酵母液の失敗?白い膜の正体と正しい対処法|産膜酵母かも?焦らず学ぶ自家製酵母の見極め方と対処法
発酵についてはこちらの記事もご参考にどうぞ。
酵母って何?微生物の世界を感じる自家製酵母パン作り 3大発酵の秘密
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パン の 資格 – ぱん蔵のプロフェッショナルコースで得られるもの 認定(ディプロマ)講座




