レーズン酵母は、天然酵母パンを始める方が最初にマスターする、いちばん基本の酵母です。
だからこそ、
「何回やってもうまくいかない」
というご相談を、本当によくいただきます。
今日は、このご相談への向き合い方をお伝えしたいと思います。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
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レーズン酵母にカビが生える原因と対策——カビ・匂い・ドロッとの見分け方

なぜ、最初に習うのがレーズン酵母なのか
天然酵母パンの世界には、レーズン酵母のほかにも、
りんご酵母や酒種酵母など、いろいろな種類の酵母があります。
その中でもレーズン酵母を最初にお伝えしているのは、
比較的、菌の力を得やすい素材だからです。
多くの方が、この一本目でうまく起こせる感覚をつかんでから、
次の酵母、次のパン作りへと進んでいきます。
だからこそ、この最初の一歩でつまずいてしまうと、
「自分には向いていないのかもしれない」
と不安になってしまう方が多いのも事実です。
でも、それは決して、そのまま受け取ってしまわなくていい不安です。
「何回やってもうまくいかない」——よくあるご相談

長年うまくいっていたのに、急に失敗するようになることも
これまで何年も、失敗なく元気に起こせていた方が、
あるときから急にうまくいかなくなる、ということがあります。
数ヶ月にわたってうまくいかない状態が続き、落ち込んでしまう方も少なくありません。
一方で、最初の一回目からうまくいかない、という方もいらっしゃいます。
何度も挑戦しても結果が出ず、レーズンを1袋まるごと使い切ってしまった、という方のお話もお聞きしました。
うまくいかない理由がわからないまま挑戦を続けるのは、想像以上につらいものですね。
気温・雑菌・容器——一般的に言われている原因
一般的に言われている原因としては、
気温が高くなる時期は雑菌が繁殖しやすくなること
レーズン自体にすでに雑菌が付着していること
容器の消毒が十分でないこと
などが挙げられます。
置き場所の温度も、もちろん関係してきます。
これらはどれも、間違いなく大切なポイントです。
✅容器はできるだけ煮沸やアルコールで丁寧に消毒すること
✅直射日光の当たらない
✅温度の変化が少ない場所に置くこと
✅毎日ふたを開けて香りと様子を確認する習慣を持つこと。
こうした基本を積み重ねていくことで、うまくいく確率は確かに上がっていきます。
まずはこの基本を、ひとつひとつ見直してみることをおすすめします。
それでも説明がつかない、「相性」という視点

同じ環境・同じやり方でも、レーズンだけがうまくいかない人がいる
ただ、実際に何人もの生徒さんを見てきて感じるのは、
気温や雑菌、消毒だけでは説明がつかないケースがある
ということです。
同じ環境で、同じやり方をしていても、レーズンだけはどうしてもうまくいかないけれど、
他の素材の酵母は問題なく起きる
という方が実際にいらっしゃいます。
おすすめしているレーズンを使っても、それでもうまくいかない場合があります。
こうなると、素材との「相性」としか言いようがないところがあります。
私自身のことをお話しすると、これまでいろいろな失敗を重ねてきましたが、
レーズンだけは、実は一度も失敗したことがありません。
なぜなのか、正直なところ自分でもよくわからないのですが…
その代わり他の果物の酵母では、カビが生えたり、嫌な匂いがしたり、ドロッとなってしまったりという経験は何度もあります。
カビと「膜」の見分け方——ドロッとなっても失敗とは限らない
ドロッとなったからといって、必ずしも失敗とは限りません。
白い膜のようなものが張ることもありますが、それがカビなのか、酵母が働いている証拠の膜なのか、見た目だけで判断するのは難しいことがあります。
こちらの記事もご参考にどうぞ。
酵母液の失敗?白い膜の正体と正しい対処法|産膜酵母かも?焦らず学ぶ自家製酵母の見極め方と対処法
以前、菌の研究をしている方とこの話をしたときに、ドロッとした状態から元種を作っても、問題なく美味しいパンが焼き上がることがある、というお話を伺ったことがあります。
この研究者の方とお話しした出来事は、以前ブログをご覧ください。
杏とりんごから生まれた酵母——菌の研究者が教えてくれた発酵の奥深い世界
素材ごとの性質や特性としか言えない部分が、確かにあるのだと思います。
見た目だけで一喜一憂せず、香りも合わせて確認してみることをおすすめします。
つんとした刺激臭やカビ独特の匂いがあれば
残念ながら使うのは控えたほうがよいですが、
酸味のあるさわやかな香りであれば、発酵が進んでいるサインであることも多いのです。
うまくいかない時に大切にしたいこと

一度離れて、気分転換する
何度も失敗が続くと、それまでうまくいっていた方ほど、気持ちがぐっと落ち込んでしまいます。
そういうときは、無理に酵母作りを続けるのではなく、
一度パン作りから離れて、気分転換していただくようにお伝えしています。
少し間を置くと気持ちがリフレッシュされて、次はすんなりうまくいく、
ということもよくあります。
不思議なことに、気持ちに余裕があるときのほうが、うまくいきやすいと感じています。
一人で抱え込まない

グループレッスンやコミュニティの場で、失敗談を思い切って話してもらうのも、実はとても効果があります。
「私も同じでした」
「実はこうしたら良くなりました」
と、みんなで励まし合ったり、アドバイスをし合ったりする場になっていきます。
実際に、何度も失敗して、一度距離を置いてから戻ってきたら、あっさりうまくいった、という方も何人もいらっしゃいます。
自分だけがうまくいかないと思い込んでいるときほど、視野が狭くなってしまうものです。
同じように悩んでいる人が他にもいると知るだけで、気持ちがふっと軽くなることもあります。
一人で抱え込まなくていい
というのは、酵母作りに限らず、いろんなことに言えるのかもしれません。
まとめ——自分を責めなくていい理由

レーズン酵母がうまくいかないのは、やり方が間違っているからというだけではありません。
素材との相性や、そのときどきの環境、いろいろな要素が重なっているだけなんです。
うまくいかない時期があっても、それは誰にでもあることです。
もし今、レーズン酵母と格闘している最中だったら、
どうか自分を責めすぎずに、少し肩の力を抜いて向き合ってみてください。
基本を丁寧に整えながら、それでもうまくいかない日があったら、
素材との相性かもしれない、くらいの気持ちで受け止めてみる。
そのくらいのゆとりのほうが、実は菌にとっても、
あなた自身にとっても、心地よい環境になっていくのだと思います。
まずは作ってみたい!というからはこちらからメールレッスンが受講できます。
こちらの記事もご参考にどうぞ。
【自家製酵母の寿命】冷蔵庫で放置した酵母はいつまで使える?腐敗と発酵を見分ける一生モノの『選球眼』






