「先生、初めてでも講座に申し込んで大丈夫でしょうか?」
よくこんなお問い合わせをいただきます。
新しくパン作りを始めようと思った時、皆さんがまず最初にやること。
それはネットで道具を検索することですよね(笑)
いろいろ調べていくと、何万円もするような立派なスタンドミキサーとか、きっちり温度管理をしてくれる発酵機とか、プロ仕様の大きな機材がたくさん出てきます。
それを見て、うちの狭いキッチンには置けないなとか、こんな本格的な道具がないとダメなのかなって、そっとスマホを閉じてしまった経験がある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか(><)
でも、ちょっと待ってください。
もし今、ネットショップの買い物カゴに高級な機材を入れているなら、今すぐ削除して大丈夫です。
パン作りに最初から立派な道具なんて必要ないんですよ。
今日は私がずっと実践している
お金をかけないミニマリスト流のパン作り
についてお話ししようと思います。

天然酵母ぱん蔵の 椿留美子です。
お山での田舎暮らしを実践、発酵生活をしています。
そんな暮らしを踏まえながら、東京と山梨で自家製酵母を使って、
発酵器を使わない、ほったらかしの「ゆるパン」教室を2009年より始めました。
現在は仕事で使いたい方、深く極めたい方向けのプロ向け講座をやっています。
ラインで直接お問い合わせはこちらから
毎朝メールより音声配信をしています。
このお話を音声で聞きたい方はこちらから
【ミニマリスト流】高級機材を手放して気軽にスタート!「手のひら」で作る天然酵母パン

高級機材を手放す!ミニマリスト流・引き算の美学
実は教室の生徒さんからも、
「昔思い切って発酵機を買ったんですけど今はホコリをかぶっています」
なんていうお話をよく聞くんです笑
おうちのキッチンに置くにはやっぱり場所を取るし、いちいちコンセントをつないで温度設定をするのがだんだん面倒になってきちゃうんですよね。
パンをこねるニーダーという機械も同じで、買ったはいいものの、
「気づいたら上に郵便物とかキッチンツールが積まれてただの物置状態になっています」
なんていう方も結構いらっしゃいます(笑)
私が最初から機械をおすすめしないのには、もっと大きな理由があるんです。
それは、機械に頼ってしまうとパン作りに一番大切な五感が鈍ってしまうということなんですね。
レシピに発酵機で30度60分と書いてあると、人は生地の様子を見ないで時計と数字ばかりを見るようになってしまいます。
機械がやってくれるから大丈夫って思い込んでしまうと、
酵母という生き物との対話がおろそかになってしまうんですよね。
1グラムの誤差に怯えたり、分刻みでタイマーをセットしたり。
数字や機械に縛られず、もっと自由に菌の声を聞いてあげることが
美味しいパンを焼く第一歩になります。
あなたの手のひらは「超高機能センサー」

じゃあ機械がないなら何でこねるのって思いますよね。
それはあなたが生まれつき持っている、手のひらです。
人間の手のひらって本当に優秀で、どんな高級ミキサーにも負けない超高機能センサーなんですよ。
こねていると、今日はちょっと乾燥して生地が硬いなとか
いつもと同じレシピなのに生地が冷たいぞっていう状態を
瞬時に把握することができます。
しかも手のひらの温度は約36度くらい。
これが酵母が一番活発に動いてくれる温度にすごく近いんですね。
あなたの温かい手でこねてあげるだけで、酵母が喜んで目を覚ましてくれて、生地が伸びやすくまとまってくれます。
手ごねをしていると、途中でバターを入れる瞬間に生地がすごくべちゃべちゃになってしまうことがあります。
指の間にまとわりつくような感覚に、初心者の方はここで分量を間違えたんじゃないかっていう不安に襲われてパニックになっちゃう方も多いんですよね(><)
「先生、これ失敗ですよね、どうしよう!」
そんな声が飛び交うのも手ごねならではの楽しい時間です。

でも、そのまま自分の手を信じて一緒にこねていくと
だんだん生地が赤ちゃんの耳たぶみたいな柔らかさに変わって、つるんとまとまってくるんです。
あの指から生地が離れていく時の心地よさとか、自分でやり切ったという達成感は、手ごねだからこそ味わえる本当に素晴らしいものです。
無心になって生地の変化を手で感じて、粉の匂いが甘く変わっていくのを楽しむ。
そんな時間は、生徒さんたちにとっても最高に癒されるマインドフルネスな時間になっています。
発酵機なしでも大丈夫!寒い季節のリアルな工夫
でも、発酵機がないと冬場の寒い時期はどうするのって心配になる方もいらっしゃいますよね。
特にここ北杜市の冬は本当に冷え込みますから、お水も粉もキンキンに冷たくなっています。
実は私自身、パン教室を始めてからの7年間はずっと発酵機なしでやっていたんです。
寒い時期は少し部屋を暖かくしておくのはもちろんですが、とっておきの裏技があります。
それは、お湯を張ったコップを生地の入ったボールと一緒に、大きなビニール袋に丸ごと包んであげるという方法です。

お湯の優しい蒸気と温かさがビニール袋の中に充満して、即席の温室みたいになるんです。
お湯が冷めてきたらまた温かいお湯に変えてあげるだけ。
私も生徒さんたちにこのやり方を教えて、みんなで一緒にお湯を変えながら発酵を待っていました。
これなら特別な道具を買わなくても、今すぐおうちにあるものでできますよね。
あとはクーラーボックスを使ったりする方法もあります。
こちらをご参考にどうぞ。
発酵器を買わなくてもいい、保冷バッグで代用してみよう 天然酵母パン講師がおすすめするやり方
発酵機に入れっぱなしにするよりも、お湯を変えるたびに生地の顔を覗き込むから、自然と菌との対話が生まれます。
少し時間がかかっても、焦らずにゆっくり待ってあげる。
実は熟成時間が長い方が、パンは風味が増してもっと美味しくなるんですよ。
心配しないで、生地がゆっくりと命のように膨らむ時間を楽しんでみてくださいね!
自然発酵についてはこちらを読んでみてください!
自然発酵で作るパンの魅力|発酵器がない場合でも美味しく焼けるコツと時間の目安
パン生地を自然に発酵させるのに向く季節があるの?発酵器に入れないやり方の季節ごとのポイントを解説
室温と発酵器、同じ温度でもパン生地に差が?!天然酵母パン講師が対応の仕方を解説
自家製酵母を作ってみたい!という方はこちらをお勧めします。
おわりに:ボールとゴムベラ、そして大らかな心を持って

道具が少ないということは、準備も片付けもあっという間に終わるということです。
よし焼こうと思った時にすぐに始められて、片付けもサッと終わる。
この引き算の美学こそが、長くパン作りを続けていく一番の秘訣なんじゃないかなって私は思っています。
必要なのは、大きめのしっかりとしたボールが一つと、最初に粉と水を混ぜ合わせるためのゴムベラが一本。
あとはあなたの大らかな心と手のひらがあれば、最初は十分です。
私が開催している短期プロ講座や基礎マスタープロコースでも、最初は特別な機材がなくても全然大丈夫なんですよ。
プロ講座についてはこちら
自家製酵母パン作りが3ヶ月で学べる短期講座 商用利用もOKのオンライン集中レッスン
レッスンが進んでいくうちに、やっぱり自分にはこういう機械が必要だなと感じたら、その時に初めて購入すればいいんです。
初期投資が必要かなって迷っている方は
どうぞそのままの身軽な状態で飛び込んできてくださって大丈夫です ^ ^
自分の手のひらから命のように膨らんでいくパンが生まれる感動を、ぜひ一度味わってみてくださいね。
このお話が、皆さんの暮らしの中で少しでもお役に立ちますように。





